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採用

ジョブ型雇用の特徴とは?メリット・デメリット、導入の注意点を解説

「ジョブ型雇用は、従来型の雇用と何が違うの?」
「ジョブ型雇用のメリットとデメリットを知りたい」

と思っていませんか?

慢性的な人手不足やコロナ禍によるリモートワークの普及など、企業を取り巻く環境は大きく変化しています。その中で注目されているのが「ジョブ型雇用」です。

ジョブ型雇用の基礎知識や従来型の雇用との違いを知っておかないと、環境の変化に追いつけず、より一層、人材確保が難しくなる可能性もあります。

そこで当記事では、ジョブ型雇用の特徴やメリット・デメリット、実際の企業事例などを解説します。自社の雇用制度を一新させ、専門性の高い人材を確保したいとお考えの方は、ぜひご一読ください。

なお、採用した人材が自社に定着しないといった課題を抱えている方に向けた、無料のお役立ち資料もご用意しています。自社の社風に合う人材を採用したい方は、あわせてご覧ください。

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記事を動画で解説

ジョブ型雇用の特徴とは?注目されている背景やメンバーシップ型雇用との違い

ノートパソコンを操作するビジネスウーマン
「ジョブ型雇用」とは、職務内容に適したスキルや経験を持った人材を雇用する方法です。職務内容や責任範囲、必要なスキル、勤務時間・場所などを明確に記載したジョブディスクリプション(職務記述書)をあらかじめ作成し、その内容にマッチする人材と雇用契約を結びます。

日本では比較的、新しい雇用方法とされており、導入している企業は多くありません。しかし、アメリカをはじめ、世界中の国々で古くからジョブ型雇用のスタイルは使われています。

それでは、なぜ日本でジョブ型雇用が注目されるようになったのでしょうか。

ジョブ型雇用が日本で注目されている背景

ジョブ型雇用が日本で注目されている背景として、以下の3点が挙げられます。
・終身雇用制度が現代の環境に合わなくなってきている
・慢性的な人手不足に陥っている
・リモートワークや時短勤務などの多様な働き方が求められている
それぞれ解説していきます。
【終身雇用制度が現代の環境に合わなくなってきている】
これまでの日本では、終身雇用・年功序列制が一般的でした。高度経済成長期の急激な企業の発展に対応するため、労働力を一括で大量に確保し、時間をかけて人材を教育していくのが当たり前だったのです。

しかし、時代の流れとともに企業を取り巻く環境も変化。2018年から日本経済団体連合会(経団連)で会長を務めた中西宏明氏が「一つの会社でキャリアを積んでいく日本型の雇用を見直すべき」と提言したことで、ジョブ型雇用が注目されるきっかけとなりました。

さらに2022年には、経団連の大橋徹二副会長が「日本型雇用システムの見直しを加速させ、各企業へのジョブ型雇用の導入・活用を検討する必要がある」と発言しています。

このように、時代に合わせて雇用体系を見直し、検討や導入する段階を迎えていると言えるでしょう。

【慢性的な人手不足に陥っている】
少子高齢化の影響を受けて労働人口が減少し、多くの企業で慢性的な人手不足に陥っています。人手が足りないことでスキルや経験値が高く、即戦力となる人材を確保しなければならなくなりました。

そのために企業間での人材獲得競争も起こっており、優秀な人材をいかに自社で採用し、定着させるかが大きな課題となっています。

【リモートワークや時短勤務などの多様な働き方が求められている】
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために、会社へ出社せずに仕事をするリモートワークが広がりました。多くの企業で「社員と対面しないため、働きぶりがわからず評価しにくい」といった課題を抱えています。

しかし、ジョブ型雇用の場合は、職務内容や働く時間などが明確に定められているため、リモート環境下でもスムーズな業務進行が可能です。職務内容に沿った評価基準も用意するので、評価がしづらいといった課題の解消も期待できます。

また、育児や介護、キャリアアップなどを目的とした多様な働き方に対応するためにも、ジョブ型雇用は有効です。

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違い

ジョブ型雇用メンバーシップ型雇用
雇用方法職務に対して人を割り当てる人に対して業務を割り当てて配属する
ジョブディスクリプション(職務記述書)ありなし
業務範囲ジョブディスクリプションで定めた範囲のみ総合的
異動・転勤基本的になしあり(企業都合で人事を決められる)
昇給基本的になしあり(年功序列)
採用中途採用・新卒採用新卒一括採用
人材教育自己研鑽が必要企業が教育・研修の場を用意する
メンバーシップ型雇用とは、古くから日本にある雇用体系のことを言います。終身雇用や年功序列で昇給していくのが前提で、採用時点で配属先や職種は限定されません。

新卒を一括で採用するのが基本スタイルで、総合職での採用となります。入社後に研修を実施し、人材の適正や希望を見ながら配属先や職種を決定します。

一定期間でジョブローテーションによる異動があり、総合的なスキルや知識の向上を図りながら人材教育するところが特徴です。ただし、業務の幅が広くなるため、社内で専門的なスキルを持つ人材が育ちにくい欠点もあります。

一方のジョブ型雇用では、ジョブディスクリプションで職務範囲が明確に記載されており、配属先や勤務時間なども定められています。そのため、ジョブディスクリプションに書かれていない業務にまで範囲が広がったり、異動・転勤をしたりすることは基本的にありません。

中途採用で多く使われますが、新卒採用の現場でも使われることもあります。

また、職務に対するスキルや経験がある前提で採用されるため、手厚い社内研修は少なめです。人材がキャリアアップを図るには、自分で必要な知識を習得していく力も求められます。

古くからメンバーシップ型雇用が定着してきた日本企業において、ジョブ型雇用はまだ新しい方法です。それぞれの違いを踏まえたうえで、ジョブ型雇用のメリットについて見ていきましょう。

ジョブ型雇用の5つのメリット

ガッツポーズをする3人のビジネスパーソン
ジョブ型雇用には5つのメリットがあります。
【人材側】スキルや経験を活かして仕事ができる
【企業側】スキルが高く、即戦力となる人材を採用できる
【企業側】専門性の高い人材を育成しやすい
【企業側】職務範囲を基準とした評価ができる
【企業側】多様な働き方に対応しやすい
それぞれ解説していきます。

【人材側】スキルや経験を活かして仕事ができる

人材側は、自分が持っているスキルや経験を活かせる仕事を選べます。職務範囲が明確なため、得意な分野で活躍しながら、さらに専門性を高めたスキルアップも可能です。

好きな仕事、得意な仕事ができれば、モチベーションの維持にも役立ちます。

【企業側】スキルが高く、即戦力となる人材を採用できる

企業側は、ジョブディスクリプションに書かれたスキルや経験にマッチした人材を採用します。もともと経験値のある人材を採用するため、即戦力となって活躍する社員を確保できます。

人手不足が深刻な課題となっている企業には、有効な手段です。

【企業側】専門性の高い人材を育成しやすい

ジョブ型雇用では、専門性の高い人材育成がしやすくなります。もともと経験値のある人材を採用しているのも理由の一つですが、担当範囲外の業務をすることが少ないため、社員自身の作業に集中しやすくなるのです。

専門スキルを深め、該当業務におけるスペシャリストの育成が期待できます。

【企業側】職務範囲を基準とした評価ができる

ジョブ型雇用にすることで、明確な評価基準を定められます。どこからどこまでの仕事ができるといった職務範囲に沿った評価となるため、上司の主観による評価のブレを抑えることも可能です。

また、人材側の視点で見ると「どこまでできるようになれば評価されるのか」が明確になります。評価基準を共有することで、自主的に業務に取り組んだり、不足している知識を積極的に学習したりといった行動につなげられるでしょう。

【企業側】多様な働き方に対応しやすい

職務範囲や評価基準が明確なため、社員の多様な働き方にも対応しやすくなります。
  • リモートワーク
  • 育児や介護との両立による時短勤務
  • フレックスタイム制や時差出勤
さまざまな働き方が増え、同じ部署に所属していても、お互いに顔を合わせる時間が少なくなっています。しかし、ジョブ型雇用で明確な職務範囲と評価基準があることでマネジメントもしやすくなり、お互いに対面せずに働く環境が構築しやすくなるのです。

ここまでジョブ型雇用のメリットを5つ解説しました。上記のメリットが得られることで、業務効率化や成果に対するクオリティー向上が期待できます。ゆくゆくは、組織全体の生産性向上も目指せるでしょう。

とは言うものの、ジョブ型雇用はメリットばかりではありません。続いて、導入前に知っておきたいデメリットを解説します。

ジョブ型雇用の3つのデメリット

デメリットと書かれたローマ字のキューブ
ジョブ型雇用のデメリットとして、以下の3つを解説します。
【人材側】専門分野に特化しているため、転職時に融通が利かない
【企業側】条件の良い他社企業へ人材が流出する恐れがある
【企業側】企業都合での柔軟な人材配置がしづらくなる
一つずつ見ていきましょう。

【人材側】専門分野に特化しているため、転職時に融通が利かない

メンバーシップ型雇用では、総合職としてさまざまな職種を経験する機会がありました。長く会社に勤めることで、社内でスキルアップを図りやすい環境があったのです。

しかし、ジョブ型雇用では職務範囲があらかじめ定められているため、担当業務外の仕事をする機会は少なくなります。「未経験の職種に挑戦したい」といったときに、スキルが不足しているために転職のハードルが高くなる可能性もあるでしょう。

【企業側】条件の良い他社企業へ人材が流出する恐れがある

ジョブ型雇用には、長く勤めるほど給与が上がったり、昇進したりといった待遇はありません。そのため、不満を感じた社員が他社へ転職してしまう恐れがあります。
  • 高いキャリアビジョンを描いているが、自社では叶えられない
  • 同職種の他社のほうが、給与や勤務時間などの雇用条件が良い
上記のようなケースが起こった場合に引き止める要素がなく、やむなく優秀な人材を手放さざるを得ない状況にもなるかもしれません。

また、社内の都合でプロジェクトの終了やチームが解散することもあるでしょう。しかし、整理解雇のハードルが高い日本では、そういったときに人材を有効活用しきれずに持て余すことも起こり得ます。

【関連記事:人材の流動化とは?雇用市場の活性化によるメリット・デメリット】

【企業側】企業都合での柔軟な配置転換がしづらくなる

急遽、特定の部署で人材が辞めてしまうこともあるかと思います。そのときメンバーシップ型雇用なら、穴を埋めるために他部署の社員を異動させて人員補充が可能です。

しかしジョブ型雇用の場合は、専門性の高い人材を採用しており、さらにジョブディスクリプションで職務範囲も定めているため、異動や転勤など配置転換がしにくくなります。

柔軟な配置転換ができるような制度を社内で制定したとしても、人材側は専門分野を深めているため、配属後に教育コストがかかってしまうでしょう。

ジョブ型雇用のデメリットを3つ解説しました。上記のデメリットのほか、ジョブ型雇用には大きな落とし穴があります。次の項目で見ていきましょう。

ジョブ型雇用の注意点!スキルや経験だけを重視するとミスマッチを起こす可能性がある

ジョブ型雇用には「落とし穴」があります。「専門人材がほしくて実績のある人材を採用したが、まったく成果が出なかった」など、能力は高くても現場では活躍しないといった採用ミスマッチに頭を抱える担当者も少なくありません。

その原因は、採用時に実績やスキルばかりに目がいってしまい、「その人が組織にフィットするのか」という視点が欠落している点にあります。

「職種の経験年数」と「入社後の活躍」は相関性が低い

採用時には、適材適所の配置が重要です。しかし、転職採用の現場では「法人営業経験が10年以上あるから、うちの営業としても成果を出せるだろう」という間違った評価をしているケースが多くあります。

営業に限らず、エンジニアでも施工管理でも「経験年数」がその人の保有する「能力」を指しているわけではありません。経験年数だけでなく、年齢や出身業界、扱っていた商材などもすべて同じことが言えます。

以下のグラフのように、経験年数・学歴・年齢などは、入社後の活躍には相関しないというデータがあるほど、重視すべき事項ではないのです。
採用基準と入社後活躍相関
重要なのは、人材が持つ経験やスキルではありません。自社で活躍できる人材を定義し、能力や適性が合致する人材を見つけることです。

ジョブ型雇用では、ジョブディスクリプションに沿って、人材の経験やスキルをマッチングさせます。しかし、人材が「自社の社風や価値観に合っているか」「募集職種に対する適性や能力はあるか」といったところまでは見られません。

経験やスキルばかりに注目した採用を続けると、人材と企業間でのミスマッチが拡大し、早期離職を招く恐れもあります。また、本当は自社にフィットして活躍する人材だったにも関わらず、不採用にしていたというケースもあるかもしれません。

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なお、コンピテンシーについては、以下の記事もあわせてご一読ください。

【関連記事:コンピテンシー診断とは?導入事例や使用方法も解説】

ジョブ型雇用の注意点を解説しました。続いて、ジョブ型雇用を導入する流れを見ていきましょう。

ジョブ型雇用を導入する流れ

人差し指を立てている眼鏡をかけた女性
ジョブ型雇用を新たに導入する流れは、以下のとおりです。
1.自社にジョブ型雇用が必要なのか見定める
2.職務内容を明確に定める
3.ジョブディスクリプションを作成する
4.等級や評価制度を決定する
5.社員へ周知し、制度を運用する
一つずつ解説します。

1.自社にジョブ型雇用が必要なのか見定める

ジョブ型雇用は注目されている方法の一つではあります。しかし、本当に自社に必要なのかを検討しなくてはなりません。

いきなりジョブ型雇用に移行するには、人事担当者の業務工数が増加するほか、社員への理解を得る必要もあるでしょう。また、自社の経営戦略や社風などと、ジョブ型雇用が合わないこともあるかもしれません。

メンバーシップ型雇用が強く根付いている企業の場合は、現状を維持しつつ、採用活動や評価・給与制度の一部においてジョブ型雇用のエッセンスを取り入れる方法もあります。それぞれの良いところを取り入れ、自社に合った方法を模索していくことが重要です。

2.職務内容を明確に定める

ジョブディスクリプションを作成するために、職務内容を明確にします。
  • 名称(ポジション)
  • 職種
  • 配属先
  • 職務の概要
  • 目標
  • 業務内容・範囲
  • 責任の範囲
  • 必要とされるスキル・資格
  • 経験・学歴
  • 給与
  • 勤務時間 など
上記が明確でないと、ジョブディスクリプションの作成がスムーズにいきません。しっかりと書類に落とし込めるまで明確にする必要があります。

3.ジョブディスクリプションを作成する

上記を踏まえてジョブディスクリプションを作成します。ジョブディスクリプションに記載する内容と、実際の業務に差異がないかを確認しながら作成することが重要です。

人事部だけで作成せず、関連する部署の管理職や実際にそのポジションで働く社員に確認を取り、内容を改善させましょう。

一手間かかりますが、実務との差異がないようにジョブディスクリプションを作成することで、採用時のミスマッチ防止にもつながります。

4.等級や評価制度を決定する

メンバーシップ型のように、勤務年数によって評価されるものではありません。ジョブ型雇用に沿うように、等級制度や評価制度を改める必要があります。

人材が持つ専門的なスキルを発揮しやすく、さらなる成長を促していける仕組みを制定することが重要です。

5.社員へ周知し、制度を運用する

運用する前に社員へ周知し、ジョブ型雇用を理解してもらう必要があります。既存社員においても制度変更の対象となるのか、現行制度と比較して不利になる部分はないのかといったところを丁寧に説明しましょう。

制度運用後、課題が出てきた場合は改善していく姿勢も求められます。

ここまで、ジョブ型雇用を導入する流れをお伝えしました。次の項目では、実際にジョブ型雇用を導入している企業事例を紹介します。取り組み内容の参考に、ぜひご覧ください。

ジョブ型雇用の導入企業事例4選

ミーティングをするビジネスパーソン
ジョブ型雇用を導入している企業は複数ありますが、ここでは以下の4社を紹介します。
・株式会社日立製作所
・KDDI株式会社
・富士通株式会社
・株式会社 資生堂
ぞれぞれの事例を見ていきましょう。

【事例1】株式会社日立製作所

日立製作所では、約10年前からジョブ型の雇用システムが始まりました。その背景には、日立が世界の市場を相手に社会イノベーションを提供する事業へと転換したことにあります。

約30万人いる従業員のうち、過半数が外国籍だそうです。そのため、国や地域をまたぐチームで事業を推進するには、日本特有のメンバーシップ型では合わなくなりました。グローバルでスタンダードとなっているジョブ型を導入するのは、必然的な流れだったそうです。

約10年前から取り組みは行われていましたが、テレワークの普及や社員の働き方が変化してきていることにより、2020年4月にジョブ型の雇用や採用をより一層強化しています。
▼日立のジョブ型雇用の取り組み例
・グローバルで統一された人事制度や人事プラットフォームの構築
・技術系職種で、希望分野への配属を確約する仕組みにジョブ型を導入
・学歴別一律の初任給額から、対象者の技能・経験・職務内容などを考慮した個別の処遇設定を実施
・事務系職種でも「職種別採用コース」を新設
・新卒一括採用ではなく、人材のキャリアに合わせやすい通年採用を導入
参考:ジョブ型人財マネジメント|株式会社日立製作所

【事例2】KDDI株式会社

外部環境の変化や若手の人材確保・意識低下などの課題に対処するため、「KDDI版ジョブ型人事制度」を導入しました。2020年8月に中途入社の社員から制度を導入し、2021年には全総合職を対象として実施されています。

KDDI版ジョブディスクリプションを制定し、「専門能力+人間力」を兼ね備えた人材育成を目指しています。KDDIらしさをベースにしながら、ジョブ型の良い部分を取り入れているところが特徴的です。
▼KDDI版ジョブディスクリプション
・自律的なキャリア形成: 評価制度と連動させ、社員のキャリア形成を支援するプロセスを制定
・評価制度:過去の成果・挑戦評価(1on1による対話)、現在の能力評価(360度評価+上司評価)、未来への期待を予測する人財レビュー評価
・報酬制度
同社では、専門性を狭くして極めるのではなく、大きな枠組みで専門力を付けるような仕組みにしているそうです。細かなジョブに細分化せず、人事であれば人事の大きなくくりで一つ、営業であれば営業のくくりで一つの領域というように定義し、総合力のある人材育成に取り組んでいます。

参考:KDDI版ジョブ型人事制度|KDDI株式会社
参考:KDDIの新たな「挑戦」—ジョブ型人事制度の導入で人材育成に注力

【事例3】富士通株式会社

富士通は、2020年4月に幹部社員を対象に「ジョブ型人材マネジメント」を導入しました。その後、2022年4月には一般社員45,000人にも対象範囲を拡大しています。

社内外の多彩な人材を集め、社会にイノベーションを創出することが目的です。
▼富士通のジョブ型人材マネジメントでの取り組み例
・明確化した職務に対するグレードをベースとした評価
・職責の高さに応じた報酬制度
・事業戦略に基づく組織設計・人員計画
・社内外からの人材獲得・最適配置
・従業員の挑戦・成長の支援
それぞれの従業員の職務内容を明確にした、ジョブディスクリプションを作成。職責の高さをグループ共通とし、レベルに応じた報酬制度を運用しています。幹部のみに適用されていたグローバル共通の評価制度を、一般社員にも展開しているそうです。

従業員がさまざまな仕事にチャレンジできるよう、グループ内の求人に応募が可能となるポスティング制度も活用されています。

参考:富士通と従業員の成長に向けた「ジョブ型人材マネジメント」の加速|富士通株式会社

【事例4】株式会社資生堂

資生堂では、2021年から「ジョブ型人事制度」を導入しています。対象者は、日本国内の管理職・総合職(美容職・生産技術職を除く)です。社員の専門性を強化し、グローバルで勝てる組織にすることを目的としています。

社員を評価する基準を能力から職務へ移行させ、客観的な評価と処遇に対応できるようになりました。
▼資生堂のジョブ型人事制度での取り組み例
・社員が目指す専門領域を明確化
・それぞれの職務に必要な専門性とスキルを明示
・一般職も含めた全階層にジョブ型の評価基準を導入
・ジョブディスクリプションを明示
職務ごとではなく、部署ごとにジョブディスクリプションを作成し、組織変更や人材配置がしやすいように仕組みを考慮されています。

参考:人材育成と公正な評価|株式会社資生堂

ジョブ型を導入している企業事例を4つ紹介しました。ここまで読んで「ジョブ型雇用と成果主義は同じではないの?」「導入する際に社員に反対されないか心配」と思う方もいるのではないでしょうか。

続いて、ジョブ型の推進で、よくある質問に回答していきます。

ジョブ型を推進する際によくある質問

グレーの背景に白いクエスチョンマーク
ここでは、ジョブ型の推進でよくある質問として、以下の2つに回答します。
・ジョブ型は成果主義と同一ではないの?
・ジョブ型の推進に反対された場合は?
それぞれ見ていきましょう。

ジョブ型は成果主義と同一ではないの?

ジョブ型雇用と成果主義は混同されがちですが、同じ意味ではありません。

ジョブ型雇用では、決められた範囲の仕事をスムーズに行うことが求められます。職務に対して給与額が定められているので、仕事のクオリティに関わらず給与額は一律です。

そのため、成果主義のように高い成果を上げたからと言って、給与額が必ずしも上がるものではありません。ただ、マネジメント層になると、職務の成果が給与額に影響する場合もあります。

ジョブ型の推進に反対された場合は?

これまでのメンバーシップ型からジョブ型に移行する、もしくは一部をジョブ型にする場合、社員から反対や不安視する声が挙がる可能性があります。

とくに長年勤めている社員からすると評価や給与制度が変わるわけですから、しっかりと説明し、理解してもらう必要があるでしょう。

たとえば、
  • 制度に関する説明会を実施し、目的や意義などを伝える
  • 1on1の機会を設けて、納得がいくまで対話する
などの方法が有効です。

ジョブ型雇用を成功させるには、自社にフィットする人材採用が重要

青空の下を走るビジネスマン
ジョブ型雇用の特徴やメリット・デメリット、注意点、企業事例などを解説しました。時代の流れや企業を取り巻く環境の変化により、ジョブ型雇用が注目されています。

しかし、日本で古くから浸透してきたメンバーシップ型雇用とは違うため、導入に慎重になる企業も多いでしょう。

ジョブ型雇用にはメリット・デメリットがそれぞれあります。それを踏まえ、自社の社風やスタイルに合わせて、できるところから導入を検討してみてはいかがでしょうか。

とは言うものの、ジョブ型雇用は人材のスキルや経験とジョブディスクリプションをマッチングさせる方法です。スキルや経験がいくら高くても、自社で活躍できるとは限りません。それは、スキルや経験の高さが入社後の活躍に直結しないからです。

ジョブ型でスキルや経験をマッチングしつつ、自社での活躍が期待できる人材を採用するには、ミイダスが提供する「フィッティング人材分析」の活用をおすすめします。

ここで、フィッティング人材分析を活用した適材適所の人材配置について、当社の事例と専門家の意見を紹介します。

適材適所の人材配置が実現した事例

当社(ミイダス)の事例ですが、新規開拓営業のメンバーとして入社した社員が、なかなか成果を出せずにいました。

配置検討時に、社員にどのような特性があるのかを把握するために「フィッティング人材分析」を実施。すると、
  • 複雑な問題にぶつかったとき、合理的に解決できる能力が極めて高い
  • プレッシャーやストレスに対して感情的にならないタイプ
だとわかったのです。

その頃、当社では社長直下の部署である「経営企画」のポジションを募集していました。

求めていたのはスピード感を持って臨機応変に対応でき、あらゆる要求へのプレッシャーに強く、各組織の課題解決ができる人材です。しかし、なかなかフィットする人材が見つからず、採用が難航していたタイミングでした。

そこで、完全未経験ではあるものの、前述の社員を思い切って経営企画へ異動させたところ見事にマッチング。結果として、今では社長と営業組織の間に立ち、戦略策定や実行までを一人でこなす責任者へとステップアップするほど活躍しています。

そのほかにも、営業から採用担当やカスタマーサポートへ異動し、新たなミッションに向けて活躍している社員は多くいます。

フィッティング人材分析の導入が適材適所の近道

HRサイエンス研究所/藤元貴絵
HRサイエンス研究所/藤元貴絵
この事例からわかるのは、成果を出せなかった社員が「人として能力がないから、営業として活躍できなかった」のではなく、「ミイダスの営業において必要な特性がその人にフィットしていなかったから、活躍できていなかっただけ」ということです。

こういった判断ができるのは、「この組織ではどんな人が活躍するのか」を測定していたからにほかなりません。配置ミスの予防、適材適所の実現には、ミイダスの「フィッティング人材分析」を導入することが最も早い近道と言えます。

入社後の活躍は「能力」ではなく「配置」による

神戸大学大学院経営学研究科准教授服部泰宏先生
神戸大学大学院経営学研究科准教授
服部泰宏先生
入社後の活躍は、人材が能力を発揮できる環境やポジションに配置されたかどうかが大きな要因となります。図式に表すと、「活躍(行動)=個人が持つ特性×環境」ということ。

人材がもともと持っているバイタリティーなどの特性と、どういう環境に置かれているか、どんな上司の元で仕事をしているかを掛け合わせ、それが合致したときに人は正しい行動ができます。

どれだけ素晴らしい能力や特性を持っていても、その人に合った環境にいないと力は発揮できません。個人の特性だけを重視する採用ではなく、自社の組織体質と求職者が持っている特性の掛け算が大事だと早く気づくべきだと思います。

配置ミスの予防&適材適所を実現するならミイダスが最適

人材を採用し、入社後に活躍してもらうには「どんな人材が自社にフィットするのか」を可視化するところから始まります。活躍できる人材の定義を知らないままだと、採用ミスマッチの防止や適材適所の人材配置などの根本的な課題解決に至りません。

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