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定着率を上げるには?定着率を上げる方法を紹介します

退職者が多く、優秀な人材の流出に悩む企業は多いです。少子高齢化社会であることから、これから求職者はさらに減り、求人倍率が上がると予想されます。そのため、人員不足を解消するには、新しい人材確保に努めるのではなく「定着率」を上げる努力が大切です。
自社の人材流出に悩み、定着率を上げる方法を模索している方は、ぜひ参考にしてみてください。

記事を動画で解説

定着率とは?

まずは「定着率」という言葉の定義や計算方法をご説明します。

入社した社員が一定期間を経て定着しているか表すもの

「定着率」とは、入社した社員が一定期間を経て、どのくらい定着しているかを示す指標です。日本では入社する社員が多い4月を基準として年度単位で計算されることが多いですが、企業によって基準月や対象期間は異なります。

基準となる期間が3年、5年と長くなっても定着率が下がらない企業は、社員にとって働きやすい会社であり、離職リスクが少ないと判断できます。高い定着率を誇る企業は、優良企業であると言えるでしょう。

定着率の計算方法

定着率は、次の計算方法で算出します。

(一定期間を通して全日数残った社員数 ÷ 一定期間開始時点で雇用された社員数)×100

例を挙げて実際に計算してみましょう。
  • 基準となる期間:1年
  • 4月採用した社員数:10名
  • 翌年の4月に残った社員数:8名
  • 計算式:(8 ÷ 10)× 100 = 80(%)
4月に採用した社員10名のうち8名が残っていた場合、定着率は80%です。

定着率と離職率の違い

「離職率」は定着率と対になる言葉で、退職した社員数をもとに算出します。

上記の計算例に当てはめると、離職率は20%です。離職率は「100%-定着率」で求められます。似た文脈で使われるため、定着率と離職率を混同しないように注意しましょう。

定着率は「高い」と良く、離職率は「低い」と良い指標です。

日本の定着率の平均は?

日本の定着率の平均は「85%」程度です。つまり、離職率は15%前後で推移しています。厚生労働省が毎年行っている調査によると、令和2年の離職率は14.2%(定着率は85.8%)でした。業界によって平均離職率は異なり、例年サービス業の離職率が最も高くなっています。

また、新卒で採用された社員の定着率は中途採用よりも低いです。就職後3年以内の離職率は高卒で36.9%(定着率は63.1%)、大卒で31.2%(定着率は68.8%)となっています。

参考:厚生労働省「令和2年雇用動向調査結果の概要」
厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況を公表します」

定着率が高いと得られるメリット

定着率が高いと、企業にとってさまざまなメリットがあります。なぜ企業の人事部は離職を防ぐ必要があるのでしょうか。

定着率が高いメリットは以下の通りです。
  • 人材の流出を防げる
  • 採用・教育コストを削減できる
  • 既存社員のモチベーションアップ
  • 業績の安定
  • 生産性の向上
順に詳しく見ていきます。

人材の流出を防げる

求人情報誌への掲載費用や転職エージェントを利用した際の成功報酬など、新たに人材を確保するには費用が生じます。さらに、産労総合研究所の調べによると、2020年度に新入社員の研修に要した費用の平均は、1人当たりおよそ2万5千円です。新型コロナウイルスの影響で前年比で1.1万円減少しましたが、それでも新人教育にはコストがかかることが分かります。

定着率を上げれば人材の入れ替わりが少なくなるため、人材採用・教育のコストを節約できるのです。また退職者が少ないと「自分もいずれは転職を……」という雰囲気が社内で流れにくくなるため、転職の選択肢を選ぶ社員が減るメリットもあります。

既存社員のモチベーションアップ

定着率が高いと、既存社員のモチベーションアップになります。社員が離職すると、残された社員1人当たりの業務負担量が増えてしまいがちです。また、新しい人材を採用できても、新人社員に仕事を任せられるまで育てるには時間がかかるもの。離職する社員が多いと、既存社員への負担が大きくなるのです。

一方で離職率が低く定着率が高いと、既存社員の業務量を調節しやすく、安定して仕事に取り組めます。新人の教育ではなく自分の仕事に時間を使えるため、生産性アップにもつながるでしょう。

業績の安定

定着率が高いと、企業の経営と業績が安定しやすいです。労働力が安定しているので、長期的な事業戦略を立てやすくなります。

例えば、一度に複数人が退職してしまうと、プロジェクトの進行が滞ります。退職者の分を補充するための採用活動にも時間を要し、当初の予定通りにプロジェクトを進めることは難しいかもしれません。定着率を高めることで、安定した質やスピードで製品・サービスを提供できるため、顧客からの信頼にもつながります。

生産性の向上

定着率が高いと社内にノウハウが蓄積されるため、生産性が向上するでしょう。また、社内の人間関係も構築できているため、仕事上のコミュニケーションが円滑になります。部署の垣根を超えての協力もしやすく、チームとして成果を上げやすいです。

また、定着率が高いと、顧客離れの心配が少なくなるでしょう。離職する社員が多い場合、その社員が担当していた顧客が離れてしまうリスクがあります。担当者を変えて対応するにしても、顧客との関係性をゼロから構築する必要があり、業務の効率性に支障が出てしまう可能性があるのです。

定着率が高いと、コスト削減・生産性アップ・業績の安定など、多くのメリットがあります。

定着率が下がってしまう原因とは?

定着率が高いとさまざまなメリットがありますが、定着率が下がってしまい困っている企業も多いです。定着率が下がる理由としては次のようなものが考えられます。
  • ストレスに耐えられない
  • 給与が適切でない
  • やりがいを感じられない
  • 会社・業界の将来性が不安
  • 労働環境が悪い
  • 評価制度が適切ではない
  • 人間関係に不満を感じている
それぞれ詳しく見ていきましょう。

ストレスに耐えられない

実は退職の原因は、職場環境や人間関係、職務内容とのミスマッチなど、さまざまな要因から起こるストレスだと言われています。また、ストレスはよく一概に言われがちですが、実は人によって耐えられるストレスと耐えられないストレスが存在するのです。

例えば、Aさんはハードスケジュールな環境にはストレスを感じませんが、人間関係がギスギスした環境に対してストレスを感じます。しかし、同じ職場にいるBさんの場合は、人間関係がギスギスしていてもAさんほどストレスを感じることはなく、むしろハードスケジュールのほうにストレスを感じるケースもあるのです。これは同じ環境でも人によってストレスを感じるポイントが違うことで発生します。

つまり退職を防ぐには、社員がどんなストレスに弱いのかを特定するのが大切です。社員のストレス耐性やタイプを把握するには、ミイダスのコンピテンシー診断のようなオンライン診断ツールを利用するといいでしょう。

給与が適切でない

給与は社員にとって大きなモチベーションです。きつい仕事だとしても、給与が割に合っていればすぐには転職という選択肢は選ばないでしょう。しかし、同じ業務量・労働時間で他社と比較して給与が低い場合、転職を考える要因になってしまいます。

定着率が下がっている企業は、給与が適切であるかを一度見直してみましょう。不適切な給与は社員の不満につながり、定着率が下がるだけでなく、企業全体の効率も下がってしまいます。

やりがいを感じられない

近年は起業する人が増えています。起業へのハードルが低くなり、「やりがいのある仕事がしたい」と考える働き手が増えていることが背景にあると考えられています。

「給与・福利厚生は十分なはずなのに、定着率が低いのはなぜ?」と悩んでいる企業は、社員にとってやりがいのある仕事と言えるか、社員が成長できる環境であるかを見直してみましょう。また、体力的に厳しい仕事には社員も不満を感じやすいため、負担が大きくなりすぎていないか見直すこともおすすめします。

会社・業界の将来性が不安

社員は経営者が思っている以上に、自分が勤めている企業の将来性に敏感です。それと同時に、業界の将来性にも強い関心を持っているでしょう。

定着率を下げないためには、将来性のある会社だと示すことが大切です。固定観念にとらわれることなく、新しいことにチャレンジしていく「生きた会社づくり」を心がけましょう。とくに成長意欲が強い社員は、成長できる機会が少ない企業では満足しないため、転職を考えてしまいます。

また昇進・昇格の機会が少ない会社に対しても不満が募ってしまうでしょう。企業が成長すると同時に、社員も成長できる環境を目指していかなければなりません。

労働環境が悪い

企業には、時代の流れに適応した労働環境が求められます。定着率が低い企業は、社員にとって働きやすい労働環境であるかを見直してみましょう。

社員の働きやすさが、企業全体の効率アップにつながると考える企業が増えています。オフィスと言えば、社員ごとに固定席があるイメージですが、当日の気分によって自由に席を選んで仕事ができる「フリーアドレス」を導入している企業もあります。ストレスフリーで働く社員から、斬新なアイディアが生まれることを期待している企業の思惑が見えるでしょう。

また、新型コロナウイルスの影響でリモートワーク(在宅勤務)の選択肢も増えています。リモートワークによって、通勤のストレスを軽減できたり家庭との両立ができたりと、さまざまな働き方の多様性が問われているのです。

就労場所だけでなく、就労時間も重要な労働環境です。残業や休日出勤が多い場合は社員の疲労や不満につながりますので、業務効率を見直して極力減らす努力をしましょう。

評価制度が適切ではない

全社員を平等にチェックして評価することは、企業にとって簡単ではありません。しかし、優秀な社員であればなおのこと「適切に評価してほしい」という気持ちを強く抱いています。優秀な人材の退職は企業にとっても大きな痛手となるため、適正な評価制度を整備する必要があるのです。

社員の能力に適した部署へ配属することも不満解消になります。社員一人一人が「この会社は自分の能力をきちんと見てくれている」と思えるような企業になれば、定着率の低下も避けられるでしょう。

人間関係に不満を感じている

転職理由で多く挙げられるのは「人間関係に対する不満」です。定着率が低い企業は、社員同士のコミュニケーションが円滑に行われているかを一度確認してみましょう。とくに「上司からのパワハラ」や「仕事ができない上司と働くのが嫌」など、上司や部下とのコミュニケーションが円滑でないことに悩む社会人は多くいます。

また人事部の評価が適切でないために、社員のモチベーションが下がってしまう例もあるでしょう。こうなると仕事を頑張る人と、そうでない人が大きく分かれ、人間関係に溝ができてしまいます。定着率低下を防ぐためにも、社員同士の人間関係が円滑に行われているか関心を持つことが大切です。

定着率を上げる方法

定着率向上の施策は「リテンション施策」とも言われます。リテンションとは既存の社員を留めることを指し、リテンション施策は定着率を上げる対策のことです。

リテンション施策の例として、以下のようなものが挙げられます。
  • 採用のミスマッチをなくす
  • 残業や休日勤務を減らすサポートをする
  • 柔軟な働き方をサポートする
  • 社内のコミュニケーションを円滑にする
  • 給与を上げる仕組みを作る
  • 評価を正しくする
  • キャリア形成のサポートをする
それぞれ具体的に見ていきます。

採用のミスマッチをなくす

定着率の低さは、採用のミスマッチが大きく影響している場合があります。

「短時間で自社が求める人材を選ぶのは難しい」と悩んでいる人事担当者は多いのではないでしょうか。定着率を上げるには、採用のミスマッチを減らすことが効果的です。従来の面接方法を見直すなどし、自社にフィットした応募者にアプローチをしていきましょう。

また採用時に起こりがちな面接官による評価のばらつきをなくし、評価軸を明確にすることも大切です。そのためには自社がどのような人材を求めているのか、理想とする社員像をはっきりさせておくことが重要です。

自社が求める人物像をはっきりさせておくことで、面接の際の評価軸を明確にでき、入社後に応募者が働いている様子もイメージしやすくなります。

採用のミスマッチをなくし、定着率を改善するにはミイダスのフィッティング人材分析が最適です。自社で活躍している社員の特徴を明確化し、社風にフィットする人材の特徴を算出します。ミイダスに登録している転職者の中から、自社にフィットする特徴を持った人材にだけアプローチができるため、効率的な採用が可能です。

ミイダスは自社にフィットする人材を特定してアプローチできる
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残業や休日勤務を減らすサポートをする

ワークライフバランスの実現を重視する働き手が増えています。フリーランスが増えているのも、ワークライフバランスの実現をしたい人が増えていることが背景にあると考えられるでしょう。

社員の満足度や定着率を上げるには、仕事もプライベートも充実できる環境をサポートすることが大切です。業務効率を見直し、残業や休日勤務を減らす努力をしましょう。

残業や休日勤務を減らすために、仕事の生産性を上げる外部サービスを導入するのもおすすめです。初期費用は発生するものの、人材の確保・教育にその都度費用がかかることを考えると、現在の社員で効率よく仕事を回し、定着率を上げるほうが費用対効果を期待できます。

柔軟な働き方をサポートする

ワークライフバランスを保つためには、柔軟な働き方を導入するのも効果的です。

リモートワーク(在宅勤務)ができる業種では、リモートワーク制度の導入を検討してみましょう。コロナ禍でリモートワークができる企業が増えたことで、ワークライフバランスを保ちやすくなりました。しかしこれは、まだリモートワーク制度を導入できていない企業にとっては、人員流出の危険性が高くなっていることも意味しています。

リモートワークの他にも、出退勤の時間を自由に調節できる「フレックスタイム制」の導入も定着率向上に効果的です。育児や介護をしている人はもちろん、そうでない人も自分のライフスタイルに合わせて勤務時間を変更できると、ワークライフバランスを改善できます。

社内のコミュニケーションを円滑にする

社内のコミュニケーションが円滑であれば、転職を考える社員も減ります。人間関係に悩んで転職を考える人が多いように、社員にとって大きなストレス要因になるのです。

社員のストレス軽減は定着率の向上にもつながります。社員が楽しく働くためにも、社内のコミュニケーションが円滑に行われる環境づくりをしましょう。社員同士が業務内外で仕事の話以外のコミュニケーションが取れるような場を作れば、会社への愛着が湧いて定着率が上がるだけでなく、生産効率の向上も期待できます。

またストレスを抱える社員が減ることで社内全体の雰囲気も良くなり、お互いに働きやすい会社づくりが実現できるメリットもあります。

給与を上げる仕組みを作る

企業の業績によっては、社員の給与を上げることが難しい場合もあるでしょう。しかし定着率が下がると、企業の生産性も下がってしまいます。そうなっては業績の向上は見込めません。

「会社へ貢献したい」という社員のモチベーションを上げるためにも、それぞれの仕事のパフォーマンスに見合った給与体系を整えなければなりません。昇格・昇給制度をつくり、それに伴って給与も上がる仕組みにすれば、社員の成長意欲向上が期待できます。

成長意欲の向上は企業全体の士気を高め、定着率向上・業績向上にもつながります。上層部ばかりが潤う会社は、現代では流行りません。働き手のモチベーションを上げ、より効率よく働いてもらうためにも、給与を上げる仕組みの整備が重要です。

評価を正しくする

評価が正当でない場合、どれだけ給与が良く、福利厚生が整っていたとしても、転職する理由になってしまいます。定着率を上げるためにも評価軸を明確にし、昇進・昇給の基準をはっきりと示しましょう。

正当に評価してもらえると分かれば、社員は自社のことを「働きがいのある会社だ」と認識し、目標達成のために努力するようになります。対して「なんとなく生活のために働いている」社員は、好条件の企業を見つけるとすぐに転職してしまいますし、仕事へ真剣に向き合うことも望めないでしょう。

目標達成のために働く社員と、なんとなく働く社員。どちらがより企業へ貢献してくれるかは明白です。評価を正当にすることで企業の定着率だけでなく、社員の貢献率向上も見込めます。社員のモチベーションを保つためにも、正しく評価することが重要です。

キャリア形成のサポートをする

キャリア形成のサポートをすると定着率の改善が期待できます。一見、社員のキャリア形成をすると転職しやすくなってしまうと感じるかもしれません。しかし、ジョブ型雇用や成果主義が浸透した現代社会では、キャリアを形成できない会社は社員に離職されやすいのです。人間関係が良くても、自分のキャリアプランに合っていない会社は退職されるリスクが高まります。

あくまで自社の業務に役立つ知識を得るためのサポートを行いましょう。例えば、セミナーの受講を支援したり資格取得の費用を負担したりすると、人材が定着する可能性が高まります。社員はキャリアを形成している実感を持てるようになるのです。

定着率アップ施策の実態をデータで見る

それでは、定着率アップの施策は実際にどのような効果があるのでしょうか。データを用いて解説します。

就業者が重要だと考える企業の取り組みは?

定着率アップ施策を行っていても、なかなか結果が出ない企業もあるでしょう。効果が出ない場合は、すでに実施している施策と社員が求めている施策との間にギャップがある可能性があります。自社の社員が求める人事制度や施策を把握するには、実際にアンケートなどで聞いてみるのが確実です。しかし、ほとんどの場合、社員から正直な答えを得ることは難しいかもしれません。

そこで、中小企業庁が行った調査のデータを参考にしてみましょう。

▼人材の定着や育成のために就業者が重要だと考える企業の取組み(%)
取り組み内容 18~34歳の中核人材(n=351)
他社よりも高い賃金水準の確保 58.4
成果や業務内容に応じた人事評価 56.4
能力や適性に応じた昇給・昇進 56.4
時間外労働の削減・休暇制度の利用促進 53.0
家賃・住宅に係る補助・手当 44.2
育児・介護に係る補助・手当 41.6
作業負担の軽減や業務上の安全確保の徹底 38.2
職場環境・人間関係への配慮 38.2
勤務時間の弾力化 37.6
研修・能力開発支援 33.6
希望に応じた配置に関する相談体制の確保 19.7
メンター制度等の各種サポート 17.1
引用:中小企業庁「平成29年中小企業白書」
上記のデータから、給与アップや各種手当などの金銭的なインセンティブを求めている人が多いと分かります。しかし、金銭的なインセンティブを与えると企業の負担が増加するため、導入のハードルは高いと言えるでしょう。

そこで注目すべきなのは「時間外労働の削減・休暇制度の利用促進」が「53%」と、半数以上の票を獲得している点です。ワークライフバランスを大切にする人が増えているため、仕事とプライベートの両立は給与と同じくらい重要なのです。

残業を減らすには、社員一人一人の業務負担量を調節することが不可欠となります。業務負担量を調節する主な方法は以下のとおりです。
  • 業務の一部を外注する
  • オンラインツールなどを取り入れ、一部の業務を自動化する
  • 自社にフィットする人材を新たに採用する
定着率を向上させたくても、経営状況を考えると給与アップや手当制度の変更をすることは、すぐには難しいでしょう。しかし、採用方法や業務配分の見直しをすることでも同じ効果が期待できるのです。

転職希望者を引き止めるのは難しい?

定着率を上げるにはさまざまな方法がありますが、実は一度転職したいと感じた人を引き止めるのはとても難しくなります。以下は、転職を考えているときに現職から引き止められた場合、どんな条件を提示されれば転職を踏みとどまるかを示した調査データです。
引用:あしたのチーム「現職の人事評価制度へ不満を持つ転職意向者 ~2019年7月 転職に関する調査~」

この調査によると「給与の増額」を提示した場合に転職を踏みとどまる人が最も多い結果となっています。しかし、それでも約半数(47%)の人は転職をする気持ちに変わりがないようです。評価の見直しをして昇進や異動をさせるなど、新たな環境の提案をしても、半数以上の人が転職の意思に変わりはないと回答しています。

このデータから「転職したい」と一度感じた社員を引き止めるのは非常に困難だと分かるでしょう。定着率を向上させるには、根本的に人事制度を見直す必要があります。また、採用ミスマッチによる離職である場合、入社後に離職対策を施すことは難しいと言えます。自社にフィットしない人材は、遅かれ早かれ離職してしまうのです。

このように、転職希望者の引き止めは難しいため、最初から自社にフィットする人材のみを採用し、人事制度を根本から見直すことが重要になります。

定着率を上げる施策を推進している企業事例3選

実際に定着率を上げる施策を実施し、数値を改善させた企業の事例を3つ紹介します。ぜひ自社に取り入れる施策のヒントを探してみてください。

サイボウズ株式会社

サイボウズ株式会社では、社内のコミュニケーションを活性化する施策をしたところ、離職率が28%から3%前後まで減少しました。つまり、定着率が97%前後まで改善されたのです。

サイボウズでは、自分らしく働けるように、多様な働き方に対応した人事制度を導入しています。
・育児・介護休暇制度
・一人一人が自分の働き方を決める「働き方宣言制度」
・在宅勤務制度
・退職しても6年以内なら復帰が可能な「育自分休暇制度」
・副業許可
・他部署に体験入部が可能
・子連れ出勤制度
・その年にお世話になった人の表彰
・社内の部活動
・誕生月の社員が集まる誕生日会
・部内での飲み会をサポート など
上記のような人事制度を導入することで、社員の満足度が高まり、定着率が向上しました。表彰制度や社員同士のコミュニケーションができる場の支援などは、比較的どんな企業でも導入しやすい施策です。社内のコミュニケーションを活性化すると、メンター制度などのお堅い制度を設けなくても同様の効果が期待できるでしょう。

参考:サイボウズ株式会社「ワークスタイル 多様な働き方へのチャレンジ」

株式会社レオパレス21

株式会社レオパレス21では、業界平均以上の離職率を記録していたところから、離職率9%弱にまで改善しています。つまり定着率は約91%です。

レオパレス21が行った定着率を上げる施策は「研修の見直し」です。これまで研修にあまりコストをかけず、現場任せで教育をしていたそうです。しかし、社員にアンケートを取ったところ、充実した教育を求めていたことが判明しました。そこからは、管理職研修や営業力強化研修、組織マネジメントなどさまざまな研修を行いました。

研修を実施したことで、管理職の社員たちによるマネジメントの質が上がり、若い社員の定着率を向上できたそうです。

また、レオパレス21は「残業の削減」にも力を入れています。労働時間が評価に直結しないことを社員に伝え続け、カルチャーの改革を行いました。リフレッシュ休暇や計画年休制を導入したことで、有給取得率も2倍程度にアップ。社員のワークライフバランスが改善し、定着率が高くなっています。

残業をすればするほど評価されていたのは、ひと昔前の話。欧米の文化も輸入され、ワークライフバランスが注目されている今では、残業時間の削減こそが定着率向上のカギとなるかもしれません。

参考:リクナビNEXTジャーナル「3年間で離職率が劇的に改善! レオパレス21はなぜ変われたか?」

医療法人深慈会

医療法人深慈会では、コロナ禍で仕事と家庭の両立ができなくなった社員の退職や求職が続いていましたが、新たな採用ツールを導入したことで定着率が改善しました。

医療法人深慈会は、自社にフィットする人材を洗い出し、その人材にスカウトを送る採用ツール「ミイダス」を利用しています。自社に合った人材をピンポイントで採用できるため、採用ミスマッチを防止する効果が期待できます。

さらに、医療法人深慈会では「体験入社」を導入したことで、定着する人材を採用できました。求職者に職場を見てもらってから採用するため、すぐに離職されることがなくなります。採用ミスマッチがなくなり定着率が向上すると、コストの削減や生産性アップが実現し、既存社員のモチベーションアップにもつながるなど、メリットが多くあるのです。

参考:ミイダス導入事例「「スカウト」だけではない。コンピテンシー診断、トライ、スポット…「ミイダス」で、採用と組織が変わる」

体験入社については、以下の記事でも詳しくご説明しています。

体験入社とは?導入するメリットや注意点、導入方法をまとめて紹介

定着率を上げるには組織体質を把握することから始まる

定着率を上げるには、自社の組織にどのような思考性の人材がいるのかを可視化させることが重要です。

具体的には、
  • どのような部分に不満を持ちやすいのか
  • どのような部分にストレスを感じやすいのか
を組織単位で把握することが、定着率を上げるための大事なポイントです。

ミイダスでは、組織の体質を分析・可視化できるフィッティング人材分析(活躍要因診断)を無料で提供しています。採用ミスマッチをなくすことで、離職の根本的な原因を解決し、定着率の向上を目指しましょう。

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