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採用

採用ミスマッチはなぜ起こる?原因と対策を解説


「せっかくいい人材を採用したと思ったのに、期待通りの活躍をしない」
「早期に離職してしまい、採用や育成にかけたコストが無駄になった」

などのお悩みはありませんか?

このような問題は「採用ミスマッチ(企業と求職者の間に生じる認識のズレ)」によって起こります。

今回は、そんな採用ミスマッチの原因と対策についてご説明します。長期的に自社で活躍する人材を探して採用したい方は、ぜひご一読ください。

自社にフィットする人材採用を希望する方には下記のお役立ち資料を、より詳しい対策事例については関連記事も併せてご覧ください。

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【 関連記事:
採用ミスマッチを防ぐにはどうすればいい?対策や導入事例を紹介

記事を動画で解説

早期離職率と日本の平均離職率をデータで解説

まずは、日本における早期離職率と平均離職率について確認しておきましょう。

早期離職とは、就職してから3年以内の離職を指します。

厚生労働省が令和3年に発表した調査では、新卒入社をした社員における3年以内の離職率は高卒で約4割(36.9%)、大卒で約3割(31.2%)でした。

直近30年の推移を見ても多少の変動はありますが、傾向に大きな変化はありません。また、新卒入社の早期離職率は、中途入社と比べて高く推移しています。コストや時間をかけて新卒社員を採用しても、その内の約3人に1人は3年以内に辞めてしまう傾向にあるのです。

参考:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況を公表します」

日本全体の離職率は「14%前後」で推移しています。100人の企業であれば1年間に約14人辞めている計算になります。自社の離職率が14%以上の場合、平均以上であるため注意する必要があるでしょう。
入職率・離職率の推移
引用:厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概要 図1-1 入職率・離職率の推移」
ただし、離職率は業界によって大きな差があります。

宿泊業や飲食サービス業は25.6%、生活関連サービス業、娯楽業は22.3%、サービス業(他に分類されないもの)は18.7%と高く、分野にかかわらず、サービス業は離職率が高い傾向にあります。
産業別入職率・離職率
引用:厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概要 図3-1 産業別入職率・離職率(令和3年(2021))」
また、企業の規模が大きければ大きいほど離職率は低くなります。しかし、総務省と経済産業省の調査によると、日本企業の99.7%は中小企業です。

したがって、なかなか思うように下がらない離職率に悩んでいる企業がほとんどだと言えます。

よくある4つの離職理由

離職届を書く手
厚生労働省の「令和3年雇用動向調査結果の概要「表6 転職入職者 が前職を辞めた理由別割合 」によると、「その他の理由」を除いて多い離職理由は以下の4つです。

1.労働時間・休日等の労働条件が悪かった
2.給与等収入が少なかった
3.仕事の内容に興味を持てなかった
4.職場の人間関係が好ましくなかった

毎年行われてきた同調査でも、これら4つは常に離職理由の上位を占めています。

1.労働時間・休日等の労働条件が悪かった

労働時間や休日等の労働条件は入社前に周知されますが、入社後に「リアリティ・ショック(理想と現実の違いに大きなショックを受けること)」を受けてやりがいを失ってしまう人は多くいます。

具体的には、入社前の説明では「月残業40時間」だったものが、いざ入社すると「月残業80時間 」、加えて説明にない休日出勤ありの環境であることから、労働意欲の低下を招くケースが挙げられます。

リアリティ・ショックは、企業側の過度な採用ブランディング、および説明不足が原因で発生します。求職者自身では気づかないギャップを植え付け、そのまま採用すれば当然ミスマッチにつながるのです。

2.給与等収入が少なかった

想像していた以上に給与等が少ない現実も、社員にリアリティ・ショックを植え付けてしまい、離職させてしまうきっかけになります。

内閣府の世論調査によると、働く目的は「お金を得るために働く(51.0%)」が最多。近年は成果主義の企業が増える一方、転職が一般的になっているため、より良い待遇を求めて転職する方が増加しています。
働く理由は何か①
働く理由は何か②
引用:内閣府世論調査「3.生き方,考え方について (2)働く目的は何か」

3.仕事の内容に興味を持てなかった

仕事内容に興味を持てなくなって離職する方も多くいます。
  • 希望の業務に携われず、会議やプレゼン資料作成などの雑務ばかり担当していた
  • 仕事があまり回ってこない職場で、スキルや経験を磨く機会がなかった
やりたい業務ができない、スキルアップができない職場だと、社員のモチベーションは低下していきます。

近年、日本企業も年功序列型からジョブ型といった成果主義の流れに変化しつつあるため、キャリアやスキルアップの場を求めて転職する人材が増えているのです。

4.職場の人間関係が好ましくなかった

職場の人間関係にストレスを感じ、退職するケースも非常に多いです。厳しい採用活動を乗り越えても社風や風土にミスマッチを感じると、転職を検討する要因になってしまいます。

書類選考と数回の面接で採用をしている場合、入社前に自社の社風や文化を伝えることは難しいと感じる方もいるのではないでしょうか。

多くの場合「自社に合っていない人材だった」と気付くのは入社後です。企業と社員の両者にとって苦しい状況にならないよう、対策が求められます。
▼ミイダスポイント

他に考えられる離職理由は、
「会社から求められる成果が出せない」
「社風や職場環境との相性が合わない」
「入社前の情報とギャップがある」などが挙げられます。

採用ミスマッチを防ぐには、入社前に自社で成果が出せるコンピテンシー(能力や行動特性)を持っているか、相性が良いか悪いかなど、転職希望者の内面的な情報を収集することが重要となります。

「転職希望者が持っている情報や抱いているイメージ」と「会社の実態」を早めにすりあわせることがミスマッチを防ぐ第一歩です。

採用ミスマッチのマクロ的要因3選

JOBの文字と虫眼鏡
採用ミスマッチにつながる原因は、市場動向や社会情勢によって変化するマクロ的(外部的)要因と、社内で発生するミクロ的(内部的)要因の2種類に分けられます。

本項では、まず以下3点のマクロ的要因について解説します。
  • 労働人口の不足
  • 採用企業と求職者のスキルが一致しない
  • 企業の開示情報が不十分・不透明

労働人口の不足

近年は労働人口の不足が問題視され、競合他社と人材を取り合う「売り手市場」になっています。

総務省統計局が公表したデータによると、労働力人口は2022年平均で6,902万人。前年比マイナス5万人という結果です。
 労働力人口の推移
引用:総務省統計局「労働力調査(基本集計) 2022年(令和4年)平均結果
市場に人材が不足する状況では、企業が求める能力を持つ人材が少なく、一から教育する必要があります。しかし、能力を伸ばせる人材の特徴を分析せずに採用すれば、ミスマッチが起こりやすくなるのです。

【関連記事:人手不足が深刻化する日本ー5つの原因と企業が実施したい6つの対策

採用企業と求職者のスキルが一致しない

採用企業が求めるスキルや能力が、エントリーする求職者と一致しないのも採用ミスマッチのマクロ的要因の一つです。

たとえば企業が上流工程の開発経験があるSEを求めている一方、実際の労働市場には一致するスキルを持った人材が少ないといった状況です。

労働人口の不足に伴う売り手市場が続くと、今後もこうした問題が継続していきます。求める人材に企業の情報が届くよう、適切な採用チャネルを使用するのがポイントです。

企業の開示情報が不十分・不透明

採用チャネルには企業の基本情報(募集要項・職務内容・会社情報・福利厚生など)を公開します。

しかし、これらの情報が不足していたり、偏りがあったりすると、ミスマッチが生じたまま求職者は応募することになってしまいます。

このケースでは、ミスマッチに気がつくのが入社後になる場合が多いため、企業と社員の双方に大きなダメージが残ってしまいます。

新卒採用のミスマッチにつながるミクロ的要因6選

退職について悩む新入社員
新卒採用のミスマッチにつながりやすいミクロ的要因は、主に以下の6点です。
  • 企業文化や社風が合わない
  • 新卒者が働くイメージを持てていない
  • 労働環境が事前説明と異なる
  • 採用した新卒のスキルが低かった
  • 学歴や面接時の印象ばかりを重視している
  • 入社前後のフォロー不足

企業文化や社風が合わない

就活生が事前に企業文化や社風を知らず、入社後にミスマッチが生じるケースは多い傾向です。

年功序列の企業に成果主義を求める人材、ブレインストーミングが活発な企業に受動的な人材など、企業と新卒採用者の間で起こる志向性の違いがミスマッチを引き起こします。

企業文化や社風が合わないと、実力を発揮する機会に恵まれず、結果的にモチベーションが低下して早期離職につながりやすくなります。

新卒者が働くイメージを持てていない

2017年の新卒から採用選考活動開始時期が大幅に変更されたことで、選考期間が従来よりも短くなりました。

これに伴い就活も早期化し、就活生が業界研究や企業研究にかける時間が少なくなり、結果として働くイメージが希薄なまま採用選考が進んでしまうのです。

労働環境が事前説明と異なる

企業側は多くの学生に応募してほしいと考えた結果、たとえ残業が多くても「月残業は20時間以内」など、実際とは異なる説明をするケースがあります。

意図的に異なる情報を伝えれば、就活生は当然その情報を信じて入社するため、「聞いていた話と違う」とギャップに落胆して退職を選んでしまうと考えられます。

採用した新卒のスキルが低かった

就活生は、採用選考の時に「自分のスキルを盛って伝える」ことがあります。面接官もその情報を鵜呑みにすると、入社した新卒採用者のスキルが低いことに気付きます。

ここで言うスキルは、コミュニケーション能力・思考力・積極性など、仕事をこなすうえでベースとなる「ソフトスキル」を指します。

就活生のスキルを見抜く能力が不足していると、このようなミスマッチが発生するため、採用活動に携わる社員全体のスキルアップが求められるのです。

学歴や面接時の印象ばかりを重視している

前項のスキル不足と似ていますが、面接で学歴・資格・ボランティア経験・人柄などに着目してしまい、本体の性格やポテンシャルを見逃してしまうことがあります。

書類上で可視化できる情報や第一印象を重視すると、本当に現場で活躍できる人材を見逃してしまいます。

たとえば高い学歴を持ち、話し上手で明るい性格でも、コンプライアンス意識が低く社外秘を話してしまう人材もいるでしょう。活躍人材を見抜くには、表面的な情報だけでなく、活躍人材に共通する行動特性(コンピテンシー)の分析が欠かせません。

コンピテンシーを分析するには、ミイダスの「コンピテンシー診断」を使えば、コミュニケーション能力やストレス態勢など、41項目の行動特性の高さを数値化・可視化できます。

面接だけでは分からない潜在能力を、採用選考での判断材料にできるので、自社のカルチャーにマッチした人材の選考に役立ちます。

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入社前後のフォロー不足

仮に企業と就活生のマッチング度が高くても、入社前後のフォロー不足で不安を感じさせてしまいます。

就活生にとって、どれだけ自分にマッチした企業を選んだとしても、初めての社会人生活を送る環境には敏感になります。

適切なコミュニケーションを取らずに放置してしまうと、不安を解消できなかった新卒採用者が早期退職してしまうのです。

中途採用のミスマッチにつながるミクロ的要因4選

退職届を持つ手
中途採用のミスマッチにつながりやすいミクロ的要因は、主に以下の4点です。
  • 要件定義が不十分
  • 求職者情報を把握できていない
  • 中途採用者へのサポート不足
  • 中途採用者が活躍しにくい組織風土が醸成されている

要件定義が不十分

要件定義とは、採用したい人材の能力や特性を定義し、採用活動における基準とするものです。単に欠員補充や増員で募集をかけるのではなく、事業戦略と照らし合わせて必要な人材像を作成します。

この要件定義が不十分だと、効果的な採用戦略を構築できず、漠然とした選考基準で採用選考が進んでしまいます。

詳細な要件定義を作成するには、組織で活躍している人材のコンピテンシーを分析し、中途採用者に求める特性をリストアップしていきます。

この時、要件を増やしすぎると「高望み」になってしまうので、特に求めるものに絞り込むのがポイントです。

コンピテンシーの分析には、ミイダスの「コンピテンシー診断」を活用すると、一人ひとりヒアリングしてコンピテンシーを見定める手間がかからず便利です。

なお、要件定義については以下の記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。

【関連記事:採用要件・人材要件の作り方とは?定義方法からペルソナの設計例まで解説

求職者情報を把握できていない

中途採用では経歴やスキルなどの実績だけで判断すると、実際の業務でミスマッチが生じます。

たとえ前職で高い成果を収めていても、その人材が自社でも活躍できるとは限りません。

面接だけで求職者情報をすべて判断するのは極めて難しいため、ミイダスのようなアセスメントツールも併用しながら活躍人材を見極めるのがポイントです。

中途採用者へのサポート不足

社会人経験があるから、中途採用者は自然に職場へ慣れてくれるだろうと思いがちですが、実は中途採用者こそオンボーディング(社員の活躍をサポートし、定着を図る取り組み)が必要です。

なぜなら、中途採用者はこれまでに積み重ねてきた経験や実績があるため、それ故に他の社員の意見に反発したり、独自のやり方を押し通したりする可能性があるからです。

そのため、中途採用者へアンラーニング(経験や実績を取捨選択し、ゼロベースから学び直す)を施し、自社での活躍をサポートする必要があります。

【関連記事:オンボーディングとは?目的や効果、具体例などをまとめて解説

中途採用者が活躍しにくい組織風土が醸成されている

中途採用者が活躍しにくい組織風土には、以下のものが挙げられます。
  • これまでの経験をもとに意見を出しても「うちのやり方ではない」と一蹴される
  • 研修やオンボーディングなどのフォローが一切なく「自分でなんとかして」と放置される
上記のように、中途採用者を「部外者」「即戦力」と過剰に捉えると、環境に慣れてもらうきっかけを失うばかりか、職場に失望して退職してしまう可能性もあるのです。

採用ミスマッチで企業側に生じる4つのコスト

採用ミスマッチで生じる企業側のコストは莫大です。金銭的なダメージだけでなく、業務の生産性や組織全体の雰囲気にも影響を及ぼします。

金銭的なコストの損失

金銭的なコストは「内部コスト」「外部コスト」の2種類に分けられます。
内部コスト内部コスト
・面接にかかった交通費・宿泊費
・懇親会や研修などの交際費
・採用担当者の人件費 など
・採用チャネルの掲載費
・採用管理システムの導入費
・説明会やセミナーの会場費
・PR動画やパンフレットなどの製作費 など
採用活動では、上記以外にもさまざまなコストが発生しています。

社員1名が入社後3か月で離職した場合、約187.5万円もの損失になると言われています。1年在籍したあとに離職された場合は、その3倍の約560万円もの損失が発生するケースもあるのです。

採用した社員が思うように活躍しなかった場合は「活躍する人材を採用していたら発生していた利益」の機会費用も考える必要があるでしょう。

参考:エン・ジャパン「なぜ人は辞めるのか?退職を科学する」

【関連記事:採用コストの削減方法とは?コストが増えてしまう原因や減らすコツを紹介

既存社員のストレス増加

既存社員のストレス増加も懸念事項です。

既存社員は新人教育のために、自分の業務を止めて時間を使っています。手間を掛けて教育をしたのに離職されてしまっては「これまでの苦労は何だったんだ」と思ってしまうでしょう。

一人だけならまだしも、複数の新人が同じパターンで離職すると、既存社員のモチベーションも下がってしまいます。

また、採用活動に関わる担当社員も、求人作成・スケジュール調整・説明会の会場設営・面接・内定者フォローなど、長期にわたって工数を割いています。苦労して採用した社員が早期退職してしまうと、苦労が水の泡になった感覚に襲われるでしょう。

さらに、次に補充する人材を採用し、しっかりと業務をこなせるようになるまでは、既存社員の仕事量が多くなり、ストレスの増加につながります。採用ミスマッチの多さが、これまで大切にしてきた既存社員の離職理由になるリスクもあるのです。

企業イメージの悪化

早期退職者が多い企業は、マイナスイメージを持たれやすくなります。

2013年には、日本共産党ホームページに「ハローワークを通じて大学生や大学院生を採用する企業について、離職率を公表していく」と公表されています。外部に離職率を公表するだけでも、企業にとっては大きなイメージダウンにつながるでしょう。

引用:日本共産党「ブラック企業対策 企業の離職率公表へ」

離職率の高さを目にした求職者は「何かブラックなことがあるのではないか」と警戒し、応募を諦めてしまう傾向にあります。

また、求職者以外にも影響を及ぼす可能性もあるでしょう。自社に関わりのある取引先や顧客などから「社員を大切にしていない会社だ」と思われてしまう可能性もゼロではありません。

ノウハウが蓄積されない

企業独自のノウハウや知見は、現場で働く社員によって蓄積されていくものです。早期退職者が増えれば、生産性の低下・モチベーションの低下・企業の成長の阻害を招きます。

ここで言うノウハウとは、「業務ノウハウ」と「採用ノウハウ」の2種類があります。

・業務ノウハウ:業務の効率化やアイデアなど、経営戦略の後押しとなるノウハウ
・採用ノウハウ:優秀な人材を採用できた成功事例など、採用活動効率化につながるノウハウ
早期離職によって人材が定着しないと、企業の成長に欠かせないノウハウを受け継ぐ社員が不足する事態に陥り、結果的に企業の成長力が著しく低下するのです。

入社前に行う採用ミスマッチの対策7選

採用ミスマッチ対策を練る会議
早期離職を減らすためには、採用ミスマッチを防ぐことが重要です。採用ミスマッチを防ぐ方法は、大きく分けて入社前と入社後に行うものに分けられます。そこでまずは、選考段階などの入社前にできる対策を7つ紹介します。

1.採用ターゲットを明確にし、構造化面接を行う
2.適性テストを実施する
3.カジュアル面談を実施する
4.リファラル採用を導入する
5.インターンシップを活用する
6.現場社員との交流会を設ける
7.フィッティング人材分析を行う

1.採用ターゲットを明確にし、構造化面接を行う

構造化面接とは、自社の採用要件を明確にし、採用の評価基準と面接の質問項目を定めた上で、マニュアル通りに面接を実施する手法です。あらかじめ決められた質問項目に沿って面接を進めていくため、面接の担当者が誰になっても、すべての求職者が同じ質問に回答することになります。結果として、客観的な評価をしやすくなるのです。

経営目標に合う人材を採用するには、採用する目的や求める人物像をあらかじめ明確にしておくことが重要です。社内でハイパフォーマンスを出している人の特性を洗い出す「コンピテンシー診断」などのツールを使用すると、構造化面接を行いやすいでしょう。

コンピテンシー診断や構造化面接について詳しく知りたい方は、ぜひこちらの記事もご覧ください。
【 関連記事:コンピテンシー診断とは?導入事例や使用方法も解説
【 関連記事構造化面接は採用に有効?利用方法をご紹介

2.適性テストを実施する

適性検査の導入は、採用担当者の業務負担軽減やミスマッチ防止に効果が期待できます。

適性検査は大きく分けて「能力検査」と「性格検査」の2種類があり、新卒では性格特性やキャリア指向、中途採用では企業が求める能力や性格と適合しているかを確認するのが一般的です。

また、適性検査は目的別に実施するタイミングを調整するのがポイントです。
  • 候補者の足切り:書類選考後
  • 受験人数の絞り込み:一次面接後
  • 最終判断の材料:最終面接後

適性検査のサービスで特に有名なものは「SPI3」「玉手箱III」「内田クレペリン検査」の3つですが、それぞれ分析方法や結果のまとめ方に大きな違いがあります。

適性検査を選ぶ際は、実施目的を明確にしたうえでサービスを比較してみてください。

関連記事:【適性検査とは?】30種類の検査の特徴と選び方を一挙解説】

3.カジュアル面談を実施する

採用活動にカジュアル面談を導入することで、ミスマッチ防止に役立ちます。具体的には、以下の3点をカジュアル面談で実施します。

1.企業が期待するパフォーマンスを具体的に伝える
2.企業の良い面と悪い面の両方を伝える
3.求職者のキャリアプランや不安などをヒアリングする

企業が期待するパフォーマンスを具体的に伝える

採用後に担当になる業務やノルマの有無など、事細かく求職者に伝えましょう。事前に業務内容や求められるレベルが分かると、認識のズレを解消した状態で選考に臨めます。

業務内容などは口頭のみで伝える方法や、採用前にそのポジションの業務内容や責任の範囲などを記した職務記述書(ジョブ・ディスクリプション)を併用する方法があります。

企業の良い面と悪い面の両方を伝える

企業の良い面と悪い面の両方を伝えることで、デメリットがあるのを承知で選考に進んでくれる求職者を見いだせるメリットがあります。

良い面ばかり伝えたり、実際の業務や社風と異なる情報を伝えたりするのは、ミスマッチの発生や企業への不信感につながります。

企業の悪い面を話した後で「こういう課題があるので、入社後は解決に向けて力を貸してほしい」と前向きなビジョンを伝えることで、勤労意欲の高い人材を洗い出す効果があるのです。

また、仮に選考から下りた求職者でも、ありのままを伝えてくれる企業には好印象を持つため、企業の評判を聞いた未来の求職者が集まりやすくなります。

求職者のキャリアプランや不安などをヒアリングする

中途採用者の場合は、求職者自身のキャリアプランや苦手なものを事前に確認しておきましょう。前職を辞めた理由や譲れない条件なども質問すると、採用ミスマッチの防止を図れます。

一方、本人に直接聞くデメリットとして、事前に準備した建前の答えしか得られない可能性があります。ります。このような質問をする場合は、お互いにとって採用ミスマッチを防ぐメリットがあることを事前に伝えておくと、円滑にコミュニケーションを取れるでしょう。

4.リファラル採用を導入する

リファラル採用とは、自社の社員から紹介や推薦を受けて実施する採用活動のことです。社員のつながりを利用して、質が高く、自社に合った人材を確保できます。リファラル採用で紹介された求職者側は、すでに知り合いが働いているため、社内の雰囲気や業務内容など、現場の声を知っています。

また、以前一緒に仕事をしたことがある人を紹介する場合、すでに現場でのパフォーマンスを見ています。通常の採用プロセスでは見ることができない性質や性格を知ってから採用できるので、ミスマッチの防止になるのです。

リファラル採用を成功させるためには、自社の社員に「求める人物像」を周知しておく必要があります。どのポジションにおいて、どのような特徴を持った人を求めているのか、社員に分かりやすく伝えましょう。

また、社員は紹介したい人をふと思いつくことも多いため、定期的にリファラル採用を実施しているとリマインドする必要があります。リファラル採用をする場合は、導入したまま放置するのではなく、社員への働きかけが重要です。

5.インターンシップを活用する

就活生に働くイメージを持ってもらう方法に「インターンシップ」があります。具体的には、以下のメリットが挙げられます。
  • 働く現場や社員の姿を間近で感じ取れる
  • 企業のブランド力を具体的に伝えられる
  • 実際の業務を通して人材の特性を見極められる
  • 採用活動が本格化する前に優秀な人材とつながりを持てる
これらのメリットは、2日以上1ヶ月未満の短期インターンシップや、1年以上実施するケースもある長期インターンシップで得られるものです。

実践レベルで優秀な人材と出会える反面、導入には時間や人的なコストが発生します。以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

【関連記事:インターンシップとは?企業側のメリット・デメリットや給与体系、導入の流れを解説

6.現場社員との交流会を設ける

採用ミスマッチ対策には、入社前に現場社員との交流会を設けることも効果的です。

交流会を行うタイミングは、1Dayインターンシップや会社説明会の後や、内定を出したあと、入社の意思決定をする前が一般的です。

求職者が現場の社員と実際にコミュニケーションを取ることで、自社の社風や文化を肌で感じられます。選考前では自社の雰囲気を知ってもらう手段として活用しましょう。

選考時は合否に影響が出てしまうのを懸念して、聞けなかった質問をする機会でもあります。

内定後であれば、たとえば「残業時間はどのくらいか」「昇給はしやすいか」など、センシティブな質問もしやすいでしょう。

これらの情報は、隠そうとしても入社後に伝わってしまうものです。入社前に実態を明らかにすることで、教育費用や引き継ぎの手間、退職までの給与といった採用ミスマッチのコストを未然に防げます。

7.フィッティング人材分析を行う


どのような特徴を持った社員が自社に合うのかを事前に知ることができる「フィッティング人材分析」を行うと、採用ミスマッチ対策になります。フィッティング人材分析とは、アセスメントリクルーティングができる「ミイダス」が提供している「活躍要因診断」のことです。

学歴や経験、スキルなどの履歴書で分かる特性は、入社後の活躍と相関関係がそれほど強くないと言われています。実際、採用ミスマッチを経験したことがある人事担当者の方は実感があるでしょう。

本当に注目すべきなのは「ストレスを感じやすい環境」や「相性の良い上司のタイプ」などの要素です。しかし、これらは学歴や職務経歴よりも抽象的なため、通常の面接で把握することは非常に難しいもの。そこで「フィッティング人材分析」が注目されているのです。

フィッティング人材分析は、自社の社風やカルチャーに適合し、採用後に活躍する可能性が高い人材の傾向を分析するツールです。

まずは自社にどのようなタイプの人材が多いのかを可視化し、その中でも活躍している社員の特徴(コンピテンシー)を洗い出します。この分析結果を利用して「自社で活躍する人物像」を知ることができるのです。

フィッティング人材分析を行ってから、自社で活躍する特徴を持った人に絞って選考や面接などをすると、ミスマッチの少ない効率的な採用活動が可能です。

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RJP(Realistic Job Preview)理論と「4つの効果」

入社前の採用ミスマッチ対策を行う上で「RJP(Realistic Job Preview)」を意識することが大切です。RJPを直訳すると「現実的な仕事情報の事前開示」という意味になります。

先ほどご紹介した採用ミスマッチの対策「会社が期待するパフォーマンスを具体的に伝える」「企業の良い面と悪い面の両方を伝える」の2つは、RJP理論に基づいているものです。採用活動を行う際に、求職者に正直に情報を伝えることの重要性は、論文などでも証明されています。

通常の採用とRJP理論に基づく採用プロセスの違いは、以下の通りです。

1.ワクチン効果

企業や業務内容に対する過剰な期待を事前に抑えることで、入社後の失望や幻滅感を和らげる効果があります。これは「期待へのワクチン」と呼ばれることもあります。会社の良い面ばかりを伝えてしまうと、入社後の期待が高まり過ぎてしまい、実際にはありえない部分まで想像が発展してしまうこともあるのです。

日常生活の例でイメージしてみましょう。学園ドラマやアニメなどの影響で、高校生になったらバラ色の学校生活が待っていると思い、いざ入学してみてがっかりした経験がある方もいるのではないでしょうか。

ポジティブな面ばかりを伝えると、現実には達成不可能なところまで想像を膨らませてしまうリスクがあります。人材に定着してもらいたい場合は、悪い面も伝えることで期待値を適度に下げる必要があるのです。

2.スクリーニング効果

RJP理論に基づく採用では、求職者は十分な情報を得た上で入社を決断できます。組織の風土や業務内容が自分に合わないと感じた場合は、企業側が内定を出しても入社を辞退するでしょう。自然と自社に合わない人材は内定を辞退し、社風に合う人材のみが入社をする「スクリーニング」が行われるのです。

3.コミットメント効果

入社前の段階で会社の悪い面をオープンに伝えることで、組織としての誠実さを求職者に感じさせることができます。すると、組織に対する愛着が湧き、帰属意識を高める効果が期待できます。

求職者は、企業のオープンな態度から「誠実で正直に向き合ってくれている」という印象を受けるため、悪い面を伝えたつもりがポジティブな効果を与えることもあるのです。

4.役割明確化効果

入社後の役割や会社が期待することを明確化すると、新入社員が会社に馴染むサポートができ、仕事の効率化につながります。役割が明確になっていると、例えば入社前に業務に関する勉強ができたり、具体的な目標を設定したりしやすくなります。

そして業務が効率化すると、仕事に対する満足感を高めることにもつながり、人材が定着しやすくなるのです。

入社後に効果的な採用ミスマッチの対策5選

ミスマッチの施策について考える2名の社員
採用ミスマッチの防止には、「入社前」の対策が最も重要です。しかし、入社後にもオンボーディング施策を実施すると、離職の防止効果を期待できます。

オンボーディング施策とは、新入社員の即戦力化や離職防止を目的とした施策のことです。

具体的に次のようなものが挙げられます。
  • 本人の異動希望を取り入れる
  • オリエンテーションや研修の実施
  • メンター制度を導入する
  • 具体的な目標の設定

本人の異動希望を取り入れる

本人の異動希望を取り入れることで、仕事のモチベーションを保ち、離職を防ぐ効果が期待できます。『日本の人事部 人事白書2021』によると、よると、「本人申告による異動希望を取り入れたことにより、離職率を改善できた」という報告が紹介されています。

引用:日本の人事部 人事白書2021 206ページ

三大離職理由の一つは「仕事内容が合わないこと」です。本人の異動希望を取り入れることで、自分の強みを活かしながら、やりがいを持って仕事ができます。企業にとっても、やる気をもって仕事をしてくれる社員が多いほうが、生産性アップに貢献します。

ただし、ポジションへの適性も適材適所の人材配置を行う上での大きな要素です。そのため、コンピテンシー診断などを実施し、適性と本人の希望の折り合いをつけながら話し合って配属を決めると良いでしょう。

オリエンテーションや研修の実施

入社してすぐ業務だけをさせるのではなく、会社の全体像やビジョン、どんな社員がいるのかを知るために、オリエンテーションや自社についての研修を実施しましょう。会社のことをよく知ると帰属意識が芽生えやすくなります。

また、会社が目指す方向や数年後に自社で経験できる事業、働くことで成長できることなどを知らせると、離職率を下げる効果を期待できます。

社員は「もうこの会社にいたくないな」と思うから離職するのです。反対に言えば「(今はつらいけど)この会社で働きたい」と思わせる理由を与えられれば離職はされません。計画段階の新規事業やフレックス制をはじめとする新しい人事制度など、今後実現する予定のことも積極的に伝えましょう。自社での明るい未来を思い描いてもらえば、離職率の低下を実現できる可能性が高まります。

メンター制度を導入する

メンター制度を導入すると、社内のコミュニケーションが円滑になります。「メンター」として、上司以外に相談役となる先輩社員を指定しましょう。気軽に相談できる人がいると、日々の業務で感じた悩みが解消されやすく、離職防止につながります。定期的に1on1のミーティングを設けて、日頃からコミュニケーションを取る習慣をつけておくと安心です。

三大離職理由の一つとして「職場の人間関係」が挙げられます。メンター制度を導入すると、不満や不安を伝えやすくなるので、人間関係のトラブルも予防できるでしょう。特にコロナ禍でリモートワークが増えた会社は、メンター制度を導入することで離職率の改善が期待できます。

メンター制度について詳しくはこちらもご参考下さい。

【 関連記事:メンターとは?制度の導入で得られる効果やデメリット、成功のポイントを解説

具体的な目標の設定

具体的な目標を設定することで、社員のモチベーションを保ち、離職を防ぐ効果が期待できます。

仕事内容に興味が持てなくなってしまったり、やりがいを感じられなくなってしまったりするケースでは、個人の目標が設定されておらず毎日がルーティン化してしまっているかもしれません。

個人の目標を設定し、その進捗度合いや達成度を定期的なミーティングで確認することで、社員に達成感ややりがいを与えることができるでしょう。また、1on1のミーティングを行うと、メンター制度と同様にコミュニケーションの活性化にもつながります。

適材適所の人事異動を実現する方法については、以下の記事もぜひ参考にしてください。

【関連記事:人事異動を適切に行うには?意味や手法を解説

組織サーベイを実施する


組織サーベイとは、組織の現状を把握するために実施する調査を指します。社員一人ひとりが抱える課題や悩みなどを集計・分析し、適切な対策を施すのが狙いです。

組織サーベイのアンケート調査を効率的に行うには、ミイダスの「組織サーベイ機能」が社員のモチベーション把握に役立ちます。
組織サーベイ利用例
入社したての社員は、慣れない環境での業務や人間関係に疲弊し、悩みを抱えるケースも少なくありません。そのため、定期的なフォローの際に組織サーベイを活用すれば、モチベーションを把握した状態で適切な対処が可能になります。

組織サーベイは任意のタイミングで繰り返し実施し、対策の効果を検証しながらPDCAサイクルを回していくことで、より確実な組織改善につなげられます。

ミスマッチ対策の効果が見られるか定期的に検証し、改善点を洗い出すことで、風通しの良い組織の醸成、そして社員エンゲージメント向上が期待できるでしょう。

「ミイダス」のアセスメントツールで採用ミスマッチを減らす

コンピテンシー診断の画面
ミイダスのアセスメントツールには、採用ミスマッチ防止に役立つシステムが多数導入されています。
コンピテンシー診断
→社員や求職者のコンピテンシー(活躍人材に共通する行動特性)を41項目で細かく可視化。求める人材像(コンピテンシーモデル)の作成や、求職者の行動特性把握に役立つ

フィッティング人材分析(活躍要因診断)
→コンピテンシー診断の結果から、活躍が期待される人材の特徴を分析・可視化。分析結果から、自社に適した特徴を持つミイダス登録者に直接アプローチが可能

バイアス診断ゲーム
→社員の認知バイアス(思考のクセ)の強さを測定し、結果をもとに自社の社風や価値観にフィットする人材の発掘に役立てられる

組織サーベイ
→定期的に社員のストレスやモチベーションをアンケートで測定し、ミスマッチの改善やエンゲージメント向上に向けた施策に役立てられる
バイアス診断ゲームとは、ゲーム感覚の診断で一人ひとりの思考のクセを見抜き、組織運営を妨げる思考性の有無や、特定の場面で下される判断の質を分析するものです。

バイアス診断ゲームで分析できる認知バイアスは22項目あります。その一部を下図で紹介します。
バイアス診断ゲームの項目
バイアス診断ゲームは、認知バイアスの傾向だけでなく、強い時・弱い時にどういった行動や判断をしていくのが良いかのアドバイスも得られます。

思考のクセを把握することで、上司・部下との接し方や、判断が必要な場面で最適解を選べるようになるのです。

ミイダスをご契約いただいた法人様なら、限定でバイアス診断ゲームやコンピテンシー診断を業務で活用する方法を学べる動画教材を閲覧できます。

いずれも採用前・後でミスマッチを防止・改善する施策で役立つツールです。他の診断と組み合わせて定着人材の採用にお役立てください。

ミイダスは自社にフィットする人材を特定してアプローチできる
「アセスメントリクルーティング」採用ツールです。

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