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業務委託とは?雇用契約との違いや契約時の注意点について簡単に解説

「専門外の業務だから自社で請け負える人材がいない。とはいえ、社員に無理やり託しても時間とコストがかかりすぎる。」

このような課題を抱えていませんか?

自社で対応が難しい業務は、業務委託を活用して、その道のプロに任せましょう。業務委託の人材をうまく活用できれば、自社は主たる業務に集中し、生産性向上を目指すことも可能です。
この記事では、業務委託契約の定義やほかの契約形態との違い、注意点について解説します。
業務委託と並行して専門人材の採用を検討したい方は、自社にマッチする人材の採用のためのお役立ち資料もご覧ください。
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記事を動画で解説

業務委託とは

業務委託とは、自社業務の一部を外部の企業や個人事業主に任せることを指します。特徴は委託者と受託者の関係が対等であることです。

正社員や契約社員のような雇用契約配下では、会社と労働者は主従関係にあるため、労働者は会社の指示に従います。

一方、業務委託契約では、当事者双方の関係が対等になり、受託者は委託者の指揮命令(※)を受けません。自己の裁量と責任に基づいて業務を遂行します。
「業務の遂行」や「業務の完成品」に対して報酬が支払われる点も業務委託契約の特徴です。
※指揮命令とは
使用者が労働者に対して業務上の指示を行うこと。出勤日や労働時間をはじめ、仕事の順番や方法など、仕事が滞らないよう指示を出すことを指揮命令と定義します。

「業務委託契約」は法律用語ではない

「業務委託契約」という契約は法律上には存在しません。「業務委託契約」とは俗称です。

民法上に定義された「委任契約」と「請負契約」を総称して「業務委託契約」と呼んでいます。では「請負契約」と「委任契約」は、どのような性質を持った契約でしょうか。

業務委託の種類①「請負契約」とは?

請負契約とは「仕事の完成」を目的とした契約です。受託者は仕事の完成を約束し、委託者は仕事の成果物と引き換えに報酬を支払います。

請負契約の事例としては下記の例が挙げられます。
  • 会社のロゴ製作
  • オウンドメディアに掲載する記事制作 
  • 期限までに特定の場所まで荷物を運び届ける業務 など
受託者は「仕事の完成」を約束しているため、万一完成しなかった場合には報酬を得られません。もし納品した商品に欠陥があれば、修繕したり代金の減額に応じたりする必要があります。

請負契約の契約不適合責任

場合によっては損害賠償責任を負う点も請負契約の特徴です。以前は「瑕疵担保責任」と呼ばれていましたが、2020年4月の民法改正で「契約不適合責任」と呼ばれるようになりました。

契約不適合責任は下記の場合に発生します。
・種類に関する契約不適合
 (例)契約内容と別の種類のモノを引き渡した
・品質に関する契約不適合
 (例)契約内容の品質に満たないモノを引き渡した
・数量に関する契約不適合
 (例)契約内容の数量に満たないモノを引き渡した
例えば、請負契約でWebサイトやシステムの作成を依頼し、納品されたシステムに不備があったときが当てはまります。このような契約不適合があった場合、委託者は受託者に対して以下の4つの請求が可能です。
  • 追完請求(修理や商品の取り換えを求める)
  • 損害賠償請求(損害について補償を求める)
  • 代金減額請求(報酬の減額を求める)※追完に応じない場合に請求可能
  • 契約解除(契約の解除と代金の返還を求める)※追完に応じない場合に請求可能
ただし、この規定は任意規定と呼ばれ、契約書に免責などの規定がある場合は契約書の内容が法律に優先されます。請負契約を結ぶ際は、契約不適合についての記載も確認する必要があるのです。

請負契約の指揮命令関係

請負契約では、受託者は業務の遂行に関して委託者の指揮命令を受けません。受託者自身の裁量と責任に基づいて業務を進めます。

委託者は業務を発注したら、基本的には完成を待つだけです。業務の過程や進め方に指示を出すと「偽装請負」を疑われ、契約違反になってしまいます。

偽装請負に関しては記事の後半でくわしく解説しているので、あわせてご覧ください。

業務委託の種類②「委任・準委任契約」とは?

委任契約・準委任契約は、一定の事務処理・業務の遂行に対して報酬を支払う契約になります。請負契約のように「仕事の完成」を前提としません。

例えば「9時から20時までケーキを100個売る」という契約において、請負契約ではケーキ100個を売るまで報酬を得られません。仕事の完成を条件とした契約だからです。

一方、委任・準委任契約では、ケーキを100個売り切らなくても、9時から20時までケーキの販売をすれば報酬が得られます。業務の遂行に対して報酬が支払われる契約だからです。

成果物を目的とした契約ではないため、委任契約には契約不適合責任がありません。委任契約で受託者が負うのは善管注意義務です。

善管注意義務とは社会通念上、当然要求される注意義務のこと。一般常識の範囲内で責任のある行動をしなければいけないという、ある意味で当たり前の義務だと言えます。

委任契約・準委任契約の違い

委任・準委任契約の違いは、委任内容が法律行為に該当するか否かです。

委任契約は「法律に関係する事務業務を当事者以外の人に代行してもらうときに必要な契約」です。例えば、弁護士に裁判所の手続きを代行してもらったり、税理士と顧問契約を結んだりする場合などが該当します。

それに対して準委任契約は、法律行為以外の事務処理を委託するときに必要な契約です。医師による患者の診察やコンサルタントが企業を分析する業務が例として挙げられます。

請負契約と委任・準委任契約の違いについては下記の動画でわかりやすく解説されているので、あわせてご覧ください。

業務委託と雇用契約(正社員・パート・アルバイト)の違い

業務委託契約について理解を深めるために、業務委託契約と雇用契約を比較して違いを見ていきます。

業務委託契約と雇用契約の違いは下記2点です。
  • 指揮命令の有無
  • 労働法による保護の有無
順に説明していきます。

雇用契約との違い①指揮命令の有無

業務委託契約では、基本的に受託者は委託者の指揮命令を受けません。委託者と受託者の関係は対等です。

企業に雇われている立場で行う業務ではなく、取引相手として進める業務になります。

一方、雇用契約の場合、労働者は企業からの指揮命令に基づいて業務を行います。企業と従業員の関係は主従関係。業務委託契約のように対等ではありません。

従業員は企業から指揮命令を受けて労働力を提供し、給与を受け取ります。 指揮命令権の有無は雇用契約と業務委託契約の特徴的な違いです。

雇用契約との違い②労働法の適用有無

業務委託契約では労働基準法の適用がありません。「労働者」として保護されないため、受託者は自己責任で休日の管理や保険への加入をする必要があります。

雇用契約では労働基準法や労働契約法の適用を受けて、「労働者」として手厚く保護されます。年次有給休暇を取得したり、休日の保証がされていたりといったことが例として挙げられます。

雇用契約では雇用保険や健康保険、厚生年金保険に加入できる点も、業務委託契約との大きな違いです。

業務委託と派遣契約の違い

業務委託契約と派遣契約の違いを見ていきましょう。業務委託契約も派遣契約も、他社に業務を任せる点では共通していますが、その法的性質は全く異なります。

先述のとおり、業務委託の場合は受託者の裁量で業務を遂行します。業務遂行のプロセスは受託者に委ねられており、委託元企業の指揮命令はありません。

派遣契約では労働者は派遣会社と雇用契約を結び、業務の指揮命令は派遣先企業から受けます。業務を実施した時間に対して報酬が支払われる点も業務委託契約とは異なる特徴です。
出典:一般社団法人 日本人材派遣協会

【表で比較】雇用契約・派遣契約・業務委託(請負・委任)の違い

業務委託(請負・委任) 派遣 直接雇用(正社員・パート・アルバイトなど)
雇用主 なし 派遣会社 就業先企業
指揮命令 不可 可能(派遣先) 可能(就業先)
提供するもの 成果物・業務の遂行 労働力 労働力
勤務時間の制約 なし あり あり
勤務場所の指定 なし あり あり
社会保険 なし 派遣元にて加入 就業先にて加入
このように契約方法によって、大きな違いがあることがわかります。自社で働く人材を確保するために、どの契約を選択するのが適切か、よく検討することが重要です。

下記の記事では、業務委託とアルバイトの違いについて解説しています。あわせてご覧ください。
業務委託とアルバイトの違いとは?企業側におけるメリット・デメリットを紹介

それでは、企業が業務委託契約を選択するメリットを見ていきましょう。

企業が業務委託する3つのメリット

企業が業務を委託するメリットは3点挙げられます。
  • コストを抑えられる
  • 業務の生産性が向上する
  • 業務量に合わせた規模の人材が確保できる
一つひとつ解説します。

企業側のメリット①コストを抑えられる

業務委託を利用する企業側のメリットとして、まず挙げられるのは、人件費を削減できることです。業務委託契約する相手は自社の労働者ではないため、健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料などの社会保険料を負担する必要はありません。

業務委託を活用すると、委託元企業が負担するのは報酬と消費税程度になります。そのため人件費のコストカットが実現するわけです。

また、教育コストを抑える効果も期待できます。

​​自社で専門外の業務を行うには、社員を教育するところから始めなければなりません。社員が知識を身につけるには、時間と費用がかかってしまいます。

しかし業務委託すれば、必要なスキルを備えた人材を即戦力として活用できます。短い時間で成果を出しやすくなるため、専門外の業務に関しては業務委託を活用したほうが最終的にコストを抑えられると言えるでしょう。

企業側のメリット②業務の生産性が向上する

業務委託を活用すると、自社業務の生産性を向上させる効果を期待できます。うまく活用できれば、売り上げに直結するコア業務に集中できるからです。

社内で対応するには難しい業務や、誰にでもできる付加価値の低い定型業務を外部に委託して、自社の社員にコア業務を担わせます。

社員がコア業務に集中できれば、業務の効率を高める効果も期待できます。業務効率が良くなれば、それまでかかっていた時間を削減でき、手が空いた社員には他業務のサポートに回ってもらうなど、効率的な人材配置が叶う点もメリットです。

企業側のメリット③業務量に合わせた人材確保ができる

業務量に合わせて人材を確保できる柔軟さもメリットの一つ。繁忙期に合わせて労働力を確保することで、従業員の負担を減らせます。

正社員として雇用すると、閑散期であっても毎月固定で人件費がかかってしまいます。しかし、業務委託の場合は必要なときに依頼できるので、業務量に合わせて人件費を絞ることも可能です。

流動性の高い人材確保を実現できる点も業務委託の魅力と言えるでしょう。

アセスメントリクルーティングを提供するミイダスでは、気になる人材に企業側からスカウトを送って採用につなげられます。短期のスポット採用も可能なので、業務委託ができる人材を探している方はぜひ登録してみてください。

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企業が業務委託する3つのデメリット

企業が業務委託するデメリットについて、確認していきましょう。デメリットは3点挙げられます。
  • 従業員のスキルアップにつながらない
  • 製品やサービスの質が下がる可能性もある
  • 場合によっては雇用契約よりコストがかかる
一つひとつ解説します。

企業側のデメリット①従業員のスキルアップにつながらない

業務委託に頼りすぎると、優秀な人材が社内で育ちにくくなる懸念があります。なぜなら、専門性の高い業務を委託し続けてしまうと、ノウハウや経験が社内に蓄積されないからです。

そのため、容易に業務委託契約を終了できず、予定よりも長期にわたって外部の人材を利用せざるを得ない会社もあります。長期的に見ると継続性のある業務に関しては、委託ではなく雇用するほうが良い場合もあるでしょう。

企業側のデメリット②製品やサービスの質が下がる可能性もある

業務委託する相手によっては、製品やサービスの質が下がる可能性もあります。成果物のクオリティは受託者の腕次第だからです。

雇用契約ではないので、委託者は頻繁な進捗確認や指示出しができません。そのため、採用段階で、受託者が一定の作業品質を保てる人材かどうかを慎重に見極める必要があります。

企業側のデメリット③依頼内容によってはコストが高額になるケースもある

業務委託で人件費のコストカットが叶う反面、場合によっては報酬額が高額になるケースもあるため注意が必要です。高度な専門性が求められる依頼内容の場合、難易度に応じて報酬が高額になる傾向があります。

参考までに下表をご覧ください。朝霞市が公開しているデータを見ると、技術職と非技術職では報酬金額に倍以上の差があります。
出典:令和2年度「労働環境把握のための調査」における集計結果

委託する業務の範囲と予算を見極めて、依頼内容を検討するよう心がけましょう。

業務委託で働く労働者側4つのメリット

続いて、業務委託で働く労働者側のメリット・デメリットについて解説していきます。業務委託で働く労働者には以下4つのメリットがあります。
  • 働き方の自由度が高い
  • 得意とする分野の業務に注力できる
  • 実力や努力次第で収入アップにつながる
  • かつての仕事の経験を生かせる
一つひとつ解説していきます。

労働者側のメリット①働き方の自由度が高い

働き方の自由度が非常に高い点が挙げられます。締め切りまでに業務を完成させれば良いので、何時に作業しても問題ありません。

朝早く起きて業務をこなしても、家族が寝静まったあとに仕事を進めることも可能。基本的に働く場所も自由です。

業務内容によっては会社に常駐する場合もありますが、多くは場所の制限がなく自由に選べます。仕事と生活のバランスが取りやすい点も業務委託で働く魅力です。

労働者側のメリット②得意とする分野の業務に注力できる

業務委託の受託者は、得意とする分野の業務に集中できます。依頼された仕事を引き受けるかどうかは個人の裁量に委ねられ、望まない業務内容の依頼は断ることもできます。

得意とする分野の業務に注力できる分、専門性を高めていける点もメリットと言えるでしょう。

労働者側のメリット③実力や努力次第で収入アップが見込める

実力や努力次第で収入アップが見込めます。成果に対する報酬が約束された契約のため案件を増ほど報酬が得られるからです。

また業務の品質や専門性を高めると、企業側に報酬アップの交渉もしやすくなります。会社員のような固定給では、どれほど業務量をこなしても得られる収入は大きく変わりません。

頑張り次第で収入アップを見込める点は、業務委託で働くメリットです。

労働者のメリット④かつての仕事の経験を生かせる

業務委託の場合、以前の仕事の経験を最大限に生かせる可能性があります。

例えば、以前は秘書の仕事をしていたという方はオンライン秘書の仕事、SEの経験がある方はプログラミングの仕事を受注できます。また、看護の仕事をしていたならば看護関係の記事執筆を受けることも可能です。

自分の強みや経験を生かしながら、ライフスタイルに合わせた新しい働き方を模索できます。

業務委託で働く労働者側4つのデメリット

業務委託で働く労働者側のデメリットは下記4点挙げられます。
  • 労働基準法によって保護されない
  • 雇用保険に加入できない
  • 厚生年金に加入できない
  • 収入が不安定になりやすい
それぞれ見ていきましょう。

労働者側のデメリット①労働基準法によって保護されない

業務委託契約では労働基準法が適用されません。従業員ではなく事業主として扱われるからです。

雇用契約の場合は最低賃金が決められていたり、労働時間の制約があったり、労働基準法保護下で手厚く保障されます。

しかし、業務委託の場合はそれらの保護がありません。すべて自分の裁量に任せて休日や労働時間の調整をしていきます。

そのため、割に合わない労働になってしまう面もあるのです。

労働者側のデメリット②業務委託では雇用保険に加入できない

業務委託で働く場合、雇用保険に加入できません。雇用保険は、雇用契約を結ぶ労働者を対象としており、業務委託を請け負う個人事業主を対象としていないからです。

そのため、業務委託の仕事がなくなったとしても、雇用保険から失業給付を受けることができず、無収入の期間が出てくるおそれがあります。

労働者のデメリット③厚生年金に加入できない

厚生年金は国民年金に上乗せで支給される年金を指します。業務委託で働く場合は、厚生年金に加入できません。

202210月以降、厚生年金の加入条件が変更され対象者の幅が広がりました。これまでは1年以上継続して勤務する労働者が対象でしたが、202210月以降は継続して2ヵ月を超えた労働者も適用されます。

しかし、業務委託のみで仕事をする場合、個人事業主扱いとなるため、年金は国民年金しか加入できません。「将来のために厚生年金がほしい」という場合は、業務委託ではなく、正社員やパートなど社会保険に加入できる雇用形態を選ぶ必要があります。

労働者側のデメリット④収入が不安定になりやすい

業務委託で働く人にとって悩ましいのは、収入が不安定になりやすい点です。

雇用契約で働く場合には毎月一定額のお給料を受け取れます。しかし、業務委託の場合は案件ごとの報酬であるため、お仕事を受注できなければ収入を得られません。

受注できても、委託元の繁忙期・閑散期によって業務量に増減が出たり、仕事の完成度次第で契約が打ち切られたりする心配もあります。

働き方の自由度は高いですが、自由とは引き換えに安定性に欠く点は何よりのデメリットポイントと言えるでしょう。

業務委託が向いているのはどんな人?

ここまで、企業側・労働者側における業務委託のメリット・デメリットを解説しました。では実際に業務委託が向いている人の特徴を紹介します。

業務委託という働き方が向いている人として、
  • 仕事内容を選びたい
  • 収入を増やしたい
  • スケジュール管理ができる
の3つが挙げられます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

仕事内容を選びたい

「自分が携わる仕事は自分で決めたい」と考える人は業務委託が向いているでしょう。正社員やパート、アルバイトの場合、業務内容は選べず、企業が人手が足りていない業務を依頼されるケースがあります。

一方、業務委託の場合、自身が行いたい業務や得意な分野を中心に仕事を選べます。また、仕事の依頼が来ても、「興味が無いから行いたくない」「仕事量が多い割に報酬が少ない」と思ったら断ることも可能です。仕事の内容を重視する方は、業務委託の仕事が向いていると言えるでしょう。

収入を増やしたい

収入を増やしたい人も業務委託が向いているでしょう。正社員やパートの場合、インセンティブが用意された職種はありますが、毎月もらえる収入は大体決まっています。収入をアップしたいと考えても、企業側が決めるため収入を増やすためには数年以上かかるケースもあります。

業務委託の場合、自分の業務量を増やすことで収入アップが見込めます。また、スキルを磨けば案件ごとの報酬をアップしたり、クライアントに報酬の交渉ができたりする可能性もあります。

経験年数ではなく、スキルを考慮するクライアントもいるため、人によっては早い段階で収入アップを目指せる場合もあるでしょう。

スケジュール管理ができる

スケジュール管理がきちんとできる人は、業務委託が向いているでしょう。業務委託はオフィスに出勤する必要がない場合がほとんどです。特に請負契約の場合は、勤務時間ではなく、決まった期限までに「仕事を完成させること」が重視されます。

スケジュール管理を怠り、納期の遅れが続けば、契約解除されたり、信用を失ったりするリスクが高まります。業務委託で働くならば、会社への出勤と同じように「平日は9時~18時まで働く」「毎日、子どもが寝たあとは少しずつ進める」など、計画性を持って業務を遂行する必要があるでしょう。

業務委託契約締結までの流れ【6ステップ】

では具体的に、企業が業務委託契約を締結するまでの流れを見ていきましょう。大筋の流れは下記のとおりです。
1.委託する業務の内容や契約期間、報酬を決める
2.業務委託先を探す・募集する
3.契約交渉する
4.業務委託契約書の原案作成する
5.相手先の意思を確認し修正する
6.契約を締結する
業務委託する相手は、クラウドソーシングサービスや求人サイトで探したり、自社のホームページで求人募集したりする方法があります。委託先が見つかったら双方の合意が取れるまで契約交渉します。

合意が取れたら原案を作成し、それをもとに入念な意識合わせをしましょう。

なかには契約を形式上のものとして、内容も読まずに署名捺印をしてしまう人もいるかもしれません。しかし、この契約がどのような意味を持つのかを双方が理解しておかなければ、後々のトラブルにつながる可能性もあります。

必ず契約内容を確認し合ってから、締結へと進むよう心がけましょう。

なお、ミイダスのレギュラースポット機能を使えば、正社員や契約社員などの長期雇用ではなく、1日〜数ヶ月の短期契約できる人材も探せます。ぜひご活用ください。

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業務委託契約書の内容は?最低限押さえておきたい6つの作成ポイント

業務委託契約書にはどのような内容を記載すれば良いのでしょうか?ここでは業務委託契約書に記載する内容について、最低限押さえておきたい作成ポイントを6つご紹介します。

解説するのは以下の6項目です。
  • 委託業務の内容
  • 指揮命令関係
  • 報酬の支払い
  • 契約の解除
  • 成果物の権利
  • 損害賠償の範囲
わかりやすく解説していきます。

1.委託業務の内容は詳細に記載する

委託する業務の内容をできる限り詳細に記載しましょう。記載内容が曖昧だと、委託者と受託者双方の認識に食い違いが生まれてしまいます。

受託者が行う業務の内容や範囲、報酬が支払われる条件を明記しましょう。万一、委託業務が滞っているときは、受託者に履行を要求し、業務が完了するまで報酬の支払いを拒むこともできます。

互いの利益を守るために、当事者間で認識を擦り合わせる慎重さも必要です。

2.指揮命令関係はどちらにあるか

指揮命令権の所在が受託者にあることを明記します。指揮命令権が委託者にある場合、その契約は派遣契約とみなされ、派遣法などの規制を受けるからです。

受託者が自己の判断に基づいて業務を行うことを明記し、お互いの権利関係を確認すると良いでしょう。

3.報酬の支払いは5つのポイントに注意する

報酬の支払いについて明記したいポイントは下記5点あります。
  • 報酬を支払うタイミング:業務終了時なのか、納品完了後なのか。
  • 消費税の計算:報酬は消費税込みの金額か、別途加算なのか。
  • 諸費用の扱い:送料などの諸費用が対価に含まれるか否か。
  • 支払い方法:現金支払いか振り込みか、手形か。
  • 各種手数料の負担:受託者、委託者どちらが手数料を負担するのか。
報酬にまつわる認識違いはトラブルに発展しやすい注意ポイントです。上記のポイントに気をつけて明記しましょう。

また、業務委託契約は報酬の支払い方法によって3種類に分けられます。

①毎月定額型
毎月定額の報酬を支払う場合は、毎月定額型の業務委託契約を結びます。受託者にとっては収入が安定するメリットがありますが、委託者は注意が必要です。受託者が労働の質を上げなくても報酬をもらえるという意識になってしまうと、成果物やサービスの質が下がりやすくなります。

(例)清掃業務、コンサルティング業務、システムの保守業務など

②成果報酬型
成果報酬型の業務委託契約では、受託者の成果によって報酬が決まります。毎月定額型とは違い、受託者の成果を上げるモチベーションにつながりやすいのがメリットです。一方で、成果を水増ししたり、強引な営業活動などを通して成果を上げたりなどのトラブルが起こる可能性があります。

(例)受注獲得件数を成果とする営業代行業務、利益や売上を成果とする店舗運営業務など

③単発業務型
原則として一度きりの単発業務を委託する際は、単発業務型の委託契約です。契約時に報酬や数量などが決められている場合が多く、短い期間で行われます。最初から報酬や契約期間が決まっているため、受託者がサービスや成果物の質を上げるインセンティブにはなりにくいでしょう。ただし、成果によっては契約満了後も関係性が続くこともあります。

(例)研修業務、デザイン業務など

このように、報酬の支払い方法にはそれぞれメリットとデメリットがあります。委託する業務に合った方法を選び、リスクを確認した上で業務委託契約書を作成しましょう。

4.解除事由を明確にする

委託者が受託者の業務に不満がある場合、契約期間中に業務委託契約を解除する必要が生じることもあります。万一の際には中途解約できるよう、契約の解除事由を明確に記載しましょう。

例えば下記のようなケースが考えられます。
  • 契約違反が生じたとき
  • 受託者が業務を遂行することが困難になったとき
契約を解除した場合に、すでに発生した費用をどちらが負担するかの検討も必要です。

5.成果物の権利はどちらにあるか

成果物の知的財産権が委託者と受託者のどちらにあるのかを明記しましょう。知的財産権とは、個人のアイディアから生まれた成果物に付随する権利のことです。

著作権や商標権、特許権が知的財産権の例として挙げられます。委託者に権利があるにも関わらず、制作した受託者が自身に権利があると思い込んでいてはトラブルに発展しかねません。

例えば下記の点を検討しましょう。
  • 成果物を制作する過程で新たに知的財産が生まれた場合
  • 委託者が成果物を改変できるか(特にソフトウェア開発の場合など)
知的財産権の所在を明らかにして、契約書に必ず記載しましょう。

6.損害賠償の範囲も明確にする

委託者に損害が起こったときには当然、損害賠償義務が発生します。損害賠償義務が発生した場合に備えて、賠償の範囲を決めましょう。

例えば、下記のように定められます。
  • 損害賠償の金額は業務委託契約の報酬額を限度とする
  • 損害賠償責任の発生要因によって規定を設ける
  • 補償の範囲に含まれる損害の種類を定める
トラブルが発展すると裁判沙汰になることもあります。損害賠償の範囲を契約書に記載するのを忘れないようにしましょう。

業務委託契約書の書き方

業務委託契約書の内容を考えたら、次は実際に契約書を作成しましょう。

業務委託契約書のひな形

ひな形を利用して業務委託契約書を作成すると、記入漏れをなくし、事務作業の工数を減らせます。ライター業務を委託するケースと例として、業務委託契約書のひな形を載せますのでぜひ参考にしてください。

業務委託契約書


株式会社〇〇を甲とし、■■を乙として、甲の業務の委託に関して、次の通り契約を締結する。

本契約に定めのない事項又は本契約の内容等に疑義が生じた場合には、その都度、民法をはじめとする法令等を踏まえ、誠意をもって甲乙協議の上、取り決めるものとする。

(委託業務)
第1条 甲は、乙に△△△に関する業務(以下「本件業務」という。)を委託し、乙はこれを受託し、本件業務の目的を理解して誠実に業務を遂行する。

(契約期間)
第2条 甲が本件業務を乙に委託する期間は、令和〇年〇月〇日から令和〇年〇月〇日までとする。

(契約の解除)
第3条 本契約の当事者の一方は、本契約期間中であっても、相手方が本契約に違反したときは、本契約を解除することができる。
2 甲は、本契約期間中であっても、乙が本件業務を実施することが困難であると認めたときは、本契約を解除することができる。ただし、乙が要した費用の負担については、甲乙協議の上、決定するものとする。

(報酬等)
第4条 本件業務に関する報酬額は、〇字あたり〇円とする。なお、発注書に定める報酬額が本契約書に定める報酬額より高い場合は、発注書の定めによるものとする。
2 交通費、通信費等諸経費の取扱いについては、甲乙協議の上、決定する。

(報酬の支払方法)
第5条 甲は、乙から各月末日までに提出を受けた請求書に関し、各月分の報酬額を翌月末日までに乙指定の銀行口座に振り込むことで支払う。なお、その際の振込手数料は、甲の負担とする。

(契約条件の変更)
第6条 本契約の当事者の一方は、委託業務の内容、実施方法等契約条件の変更を行う必要があると判断した場合は、甲乙協議の上、変更することができる。この場合、委託業務の内容、実施方法、報酬等について甲乙協議の上、新たに契約を締結し直すものとする。
2 甲は、前項により契約条件を変更する場合は、乙と協議の上、従前の契約に基づき乙が実施した業務の進捗状況に応じて、それまでの報酬を支払うものとする。

(補修及び損害賠償)
第7条 甲は、成果物が一定の納品水準に達していないと判断した場合は、乙にその補修を求めることができる。
2 甲又は乙の責めに帰すべき事由により契約書に定めた内容が守られず、甲又は乙が重大な損害を受けた場合は、直接かつ現実に受けた通常損害の範囲内において、相手方に損害賠償を請求できるものとする。
3 本条に基づく損害賠償の額は、甲乙協議の上、決定するものとする。

(第三者委託)
第8条 乙は、本件業務の全部又は一部について第三者に委託する必要があると判断した場合は、甲と協議の上、第三者に委託することができる。

(秘密保持)
第9条 甲は、乙に関する個人情報を取り扱うに当たっては、乙の同意を得た利用目的の達成に必要な範囲内で取り扱うものとする。
2 乙は、本件業務の履行に当たって知り得た個人情報を取り扱うに当たっては、当該個人情報を適切に管理するものとする。

(法令の遵守)
第10条 甲及び乙は、本契約に基づく業務を遂行するに当たっては、関連する法令を遵守するものとする。

この契約の成立の証として、本契約書を2通作成し、甲乙各1通を保有するものとする。

令和〇年〇月〇日

甲 住所:xxxxxxxxx
社名:株式会社〇〇   
代表者名:▲▲      印

乙 住所:xxxxxxxxx
氏名:■■      印
出典:厚生労働省「契約書の参考例 - 基本契約 -」

電子契約の業務委託契約書は有効?

ペーパーレス化・デジタル化が進んでいることで、電子契約によって契約書を作成している企業も増えてす。電子契約では、電子署名やタイムスタンプなどによる認証を行い、本人確認や改ざんがされていないかを確認します。

そのため、電子契約による業務委託契約書も、正しいステップを踏んでいる限り有効です。

電子署名を利用するメリットは、下記の通りです。
  • 収入印紙の添付が不要になる
  • 契約書をデータで保管・共有できる
  • 事務作業の負担軽減 など
一方で、電子署名を利用するデメリットもあります。
  • 相手先が対応できない可能性がある
  • 電子契約サービスの利用料がかかる など
リモートワークの普及が進み、書類のデジタル化も急激に進んでいます。今後、取引先から電子契約を求められることも増えるでしょう。今のうちから自社で電子契約を取り入れると、取引先や業務委託先とのやり取りもスムーズに進むかもしれません。

業務委託契約書の保管方法・保管期間

業務委託契約書は、法人税法によって「原則7年間」の保管が義務付けられています。例え短期の契約でも、契約書は正しい保管方法で管理する必要があるのです。

保管方法は、主に紙と電子データの保管に分けられます。紙での保管は導入コストがなく簡単ですが、大きな保管スペースが必要となり、参照したいときにすぐに見つからないなどのデメリットが多くあります。

そこで、近年では電子データによる業務委託契約書の保存が普及しています。電子契約による契約書を電子データで保存する方法と、紙の契約書をスキャナ保存する方法があります。それぞれ電子帳簿保存法によって要件が定められているため、注意が必要です。

例えば、電子契約による契約書を電子データで保存する場合は、下記の要件を満たす必要があります。
  • 真実性の確保
  • 関連書類の備付
  • 見読性の確保
  • 検索性の確保
これらの要件を満たす契約書管理ツールを使用すると良いでしょう。業務委託契約書は作って終わりではなく、保管まで義務付けられていることに注意が必要です。

業務委託契約の内容は変更できる?

契約の締結後でも内容の変更は可能です。契約内容を修正・変更するには「変更契約書」または「覚書」を作成し、契約し直す必要があります。

覚書に記載する内容は原契約書からの修正事項のみです。原契約のように契約内容すべてを記載する必要はありません。

原契約書よりも簡便な内容になりますが、当事者同士の意思表示に合致するものなら契約書と同じ法的拘束力を持ちます。トラブルを未然に防ぐために、契約内容に変更が生じたら、必ず覚書を作成して再締結しましょう。

以下、覚書の記載例を掲載しますので参考にご覧ください。

覚書の書式例

覚書


○○株式会社(以下、「委託者」という)と△△株式会社(以下、「受託者」という)は、両当事者間で締結された2018年1月1日付業務委託契約(以下、「原契約」という)に関し、以下のとおり合意する。

第1条(委託料の変更)
原契約第3条に定める委託料「月額90万円(消費税別)」を「月額100万円(消費税別)」に変更するものとする。

第2条(変更の効力発生日)
前条の委託料の変更は2020年2月分の業務より適用されるものとする。

第3条(原契約の適用)
本覚書に定めのない事項については原契約の定めに従うものとする。
本覚書の成立を証するため、本書2通を作成し、各当事者が記名押印のうえ、各1通を保有する。

令和xx(20xx)年1月1日
委託者   東京都xxxxxxxxx
○○株式会社

代表取締役xxxx  印

受託者   東京都xxxxxxxxx
△△株式会社

代表取締役xxxx  印
 出典:覚書による契約内容の変更とその注意点【書式例付き】

覚書作成時の注意点

覚書の作成にあたっては以下のポイントに注意しましょう。

1.原契約を特定する
2.変更内容を明確に記載する
3.効力の発生日を記載する
4.変更内容以外は原契約の内容を適用することを明記する

覚書は原契約の一部を修正するためのものなので、原契約と一体として機能します。そのため、締結する覚書がどの契約書を修正するものかを明確に特定する必要があります。

効力の発生日は、何も記載しない場合は契約書に署名・捺印した時点です。変更事項を適用させるタイミングを契約書の署名時点ではなく、特定の日付から適用させたい場合には、効力の発生日を明記しましょう。

覚書締結後は業務委託契約書とセットにして保管することをおすすめします。

業務委託契約はどう更新する?

業務委託契約が満了したあと、契約の更新をすることも多いでしょう。契約の更新には、「自動更新契約」によるものと、お互いの合意に基づき再度契約書を交わすものの2種類があります。

①自動更新契約によるもの
業務委託契約書に自動更新についての項目を記載します。システムのメンテナンスや、プロジェクトのコンサルティングなど、業務の終了時期が明確に存在しない場合に自動更新が設定されます。

新たに契約書の見直し・作成する手間が省けるのがメリットです。

②お互いの合意に基づき再度契約書を交わすもの
契約を満了したあとも、委託者が成果物やサービスに満足している場合は、取引を続けることもあるでしょう。この場合は、新たに業務委託契約を結ぶ必要があります。その際、必要であれば業務内容や報酬の見直しを行い、契約書の内容をアップデートしましょう。

業務委託契約を解除する方法

業務委託契約を途中で解除せざるを得ない状況になることもあるかもしれません。契約を解除するときは損害賠償が生じるケースもあるので、慎重に進める必要があります。

業務委託契約を解除するステップは、下記の通りです。

①業務委託契約書を確認する
まずは業務委託契約書に目を通し、「有効期限」「解除する条件」「違約金」などの規定を確認します。損害賠償についての規定も確認しておくと安心です。そして、契約書に記載されている解除事由に当てはまるかを確認します。契約の解除について記載がない場合は、民法を参照しましょう。

②受託者と話し合う
契約を解除するには「業務委託契約の解除通知書」という書類を送付する必要があります。しかし、いきなり書類を送付せず、まずは受託者と話し合いの場を設けましょう。契約を解除するとは言え、誠実な態度で接することが大切です。

③解除通知書を送付する
次に「業務委託契約の解除通知書」を作成し、送付します。郵便で送付する場合は、受け取った・受け取っていないのトラブルを避けるために内容証明郵便を利用しましょう。契約書と同じように、電子データで送付することも可能です。その場合、電子署名をする準備をしておきましょう。

解除通知書には下記の項目を含めます。
  • 業務委託契約を解除する旨
  • 解除したい契約の内容
  • 通知書の送付日
  • 受託者と委託者の名前と住所
  • 契約の解除日
  • 契約解除の理由 など
受託者の債務不履行で契約を解除する場合は「債務履行の猶予期限」や「金額」なども記載します。違約金がある場合も「振込期限」「振込先」「違約金の金額」などを記載しましょう。

④解除合意書を作成する
解除通知書の合意が完了したら「解除合意書」を作成します。解除合意書は任意の書類ですが、トラブルの防止に有効です。作成する場合は、お互いに控えを保管しましょう。

解除合意書には下記の項目を含めるのが通例です。
  • 解除した契約の内容
  • 解除の合意が得られた日付
  • 原状回復の方法
  • 清算条項
  • 受託者と委託者の名前と住所
契約を解除すると、契約をする前の状態に戻すために原状回復をする義務が生じます。すでに報酬の一部や材料などを受け取っている場合は、それを返還する方法や期限を定めましょう。

お互いに返還するものがない場合は、清算条項を記載します。今後、お互いに何かを請求することはないと確認する条項です。解除合意書を締結したら、業務委託契約の解除は完了します。

業務委託契約の勘定科目の分類や仕訳は?

業務委託費用の会計処理について簡単に解説します。業務委託費用は従業員に支払う給与とは別に会計処理を行う必要があります。

委託先や依頼業務の内容によって会計処理が異なるので、以下の分類と仕訳方法をよく確認しましょう。

勘定科目の分類

業務委託の費用は「外注費」「支払手数料」「販売手数料」などに分けられます。「委託先」と「委託内容」により、業務委託に要した費用の勘定科目が異なるため注意しましょう。

具体的には、以下のように計上します。
  • 一般的な業務委託の場合は「外注費」
  • 委託先が士業などの専門家の場合は「支払手数料」
  • 委託する業務が販売業務の場合は「販売手数料」
判断に迷ったら顧問税理士へ相談するのが確実です。
勘定科目 委託内容の例
外注費 外部の制作会社に動画制作を依頼
個人のデザイナーに自社ロゴを発注
外部営業代行会社にテレアポを依頼
支払手数料 税理士への報酬、弁護士への報酬、コンサルティングの報酬、公認会計士への報酬、振込手数料、登録手数料、送金手数料など
販売手数料 委託業務が販売業務である場合

業務委託費用の仕訳

業務委託費用の仕訳では借方に「外注費」、貸方に「普通預金」と記載します。支払い先が法人か個人事業主かで処理が変わるので注意しましょう。

例えば、外部の制作会社に動画制作を依頼し、その報酬として普通預金から30万円を支払った場合は下記のようになります。
借方 貸方
外注費 300,000円 普通預金 300,000円
弁護士や司法書士など、個人事業主への業務委託では源泉徴収が必要になるケースもあります。この場合は下記のようになります。
借方 貸方
外注費 300,000円 普通預金 269,370円
預り金 30,630円
源泉徴収額は支払額が100万円以下の場合は10.21%、100万円を超える場合は、その超過額について20.42%で計算します。源泉徴収をしない場合には、法人に支払うときと同様の処理になります。
参考:No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁

業務委託の源泉徴収とは?

業務委託の源泉徴収とは、委託者が支払う報酬から所得税などを差し引いて国に納付する制度のこと。受託者は、報酬から源泉徴収額を差し引かれた金額を受け取ります。国は効率的に徴収できるというメリットがあります。

会計の仕訳で源泉徴収が「預り金」になる理由は、委託者は受託者の代わりにお金を預かって国に納付しているからです。

源泉徴収が必要な業種は?

委託者が源泉徴収することが定められている業種は、下記のように定められています。
<支払いを受ける人が個人の場合>
・原稿料や講演料など
・弁護士、公認会計士、司法書士等の特定の資格を持つ人に支払う報酬・料金
・社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
・プロスポーツ選手、モデルや外交員などに支払う報酬・料金
・芸能人の出演料や芸能プロダクションを営む人に支払う報酬・料金
・バー、キャバレーなどに勤めるホステスなどに支払う報酬・料金
・プロ野球選手の契約金など
・広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金
引用:No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは|国税庁
これらの業務を委託する場合は、源泉徴収をする必要があります。

源泉徴収税の納付方法

受託者から預かった(報酬から差し引いた)源泉徴収税は、報酬を支払った日の翌月10日までに納付します。納付先は、管轄の税務署です。税務署や金融機関の窓口のほか、クレジットカードやインターネットバンキングによるキャッシュレス納付もできます。

ただし、給与の支給人数が常時10人未満の小規模事業者は「源泉所得税の納期の特例」を受けられます。特例が適用されると年2回にまとめて納付できるため、納付の手間を削減可能です。

参考:[手続名]源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請|国税庁

業務委託契約に関する注意点

業務委託契約に関する注意点を確認しましょう。

業務委託で社員扱いをすると「偽装請負」になってしまう

受託者に細々と口出ししては「偽装請負」に該当するおそれがあります。偽装請負とは、形式上では業務委託契約としながらも、実態は労働者派遣に該当することです。

委託者が指揮管理するには、本来なら「労働者派遣契約」を締結する必要があります。しかし、業務委託契約のほうが会社に有利な条件で労働者を就労させることができるため、これを悪用する企業も中にはあるのです。

労働法や派遣法の適用を免れる目的で業務委託契約を結ぶと、労働者が不利益を被ることになります。したがって、労働者を保護するために「偽装請負」を違法行為として罰則が設けられているわけです。

偽装請負は意図的に行われるケースもあれば、労働者派遣と業務委託の性質をよく理解しないまま、意図せずやってしまうケースもあります。

知らず知らずのうちに違法行為をしてしまわないよう、偽装請負の具体例を確認することをお勧めします。

厚生労働省のホームページで公開されている偽装請負の典型パターンが参考になるので、よく確認しておきましょう。
<代表型>
 請負と言いながら、発注者が業務の細かい指示を労働者に出したり、出退勤・勤務時間の管理を行ったりしています。偽装請負によく見られるパターンです。

<形式だけ責任者型>
 現場には形式的に責任者を置いていますが、その責任者は、発注者の指示を個々の労働者に伝えるだけで、発注者が指示をしているのと実態は同じです。単純な業務に多いパターンです。

<使用者不明型>
 業者Aが業者Bに仕事を発注し、Bは別の業者Cに請けた仕事をそのまま出します。Cに雇用されている労働者がAの現場に行って、AやBの指示によって仕事をします。一体誰に雇われているのかよく分からないというパターンです。
<一人請負型>
 実態として、業者Aから業者Bで働くように労働者を斡旋します。ところが、Bはその労働者と労働契約は結ばず、個人事業主として請負契約を結び業務の指示、命令をして働かせるというパターンです。
引用:あなたの使用者はだれですか? 偽装請負ってナニ?|厚生労働省

下請法への抵触に注意しよう

自社が「資本金1,000万円以上の企業」にあたる場合には、下請法に抵触しないよう注意が必要です。下請法とは立場の弱い企業を守る目的で制定されました。

下請法では下記11項目の行為を禁止しています。
・受領拒否   
・下請代金の支払いを遅延すること
・下請代金の減額
・返品
・買いたたき
・物の購入やサービス利用の強制
・報復措置をすること
・有償支給原材料の対価を早期決済すること
・割引困難な手形を交付すること
・不当な経済上の利益提供の要請
・不当にやり直しなどをさせること
下請法により、企業だけではなくフリーランスに対しても、取引条件を明確にした書面の交付が義務づけられています。違反すると、行政からの指導や勧告を受けるおそれがあるため、下請法の知識も学んで対策しておきましょう。

業務委託契約書には収入印紙が必要!貼り忘れに注意!

請負契約の契約書には収入印紙の添付が必要です。契約金額や文書の種類によって貼るべき印紙の金額が変わるので、国税庁のホームページで必ず確認しましょう。

印紙税法上、業務委託契約に関連するのは第2号文書と第7号文書です。それぞれ説明します。

第2号文書

継続する請負契約で契約金額の記載がある場合は第2号文書と判断されます。添付する印紙の金額は下表をご覧ください。
出典:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁

第7号文書

継続する請負契約で契約金額の記載のなく、下記の条件を満たす契約書は第7号文書として判断されます。
  • 利益を得ることを目的として事業を行っている者が締結する契約であること
  • 売買、売買の委託、運送、運送取扱い、請負のいずれかの取引に関する契約であること
  • 2つ以上の取引を継続して行うための契約であること
  • 2つ以上の取引に共通して適用される取引条件について定めていること
  • 電気、ガスの供給に関する契約でないこと
5つの条件すべてを満たす必要があります。

第7号文書に該当する場合は、印紙税額は1通につき4,000円です。この5つの条件を満たしていても、契約期間が3ヶ月以内かつ更新の定めがないものは第7号文書にあたりません。

委任契約は非課税

委任契約書は非課税であるため、契約書に印紙を添付する必要はありません。

業務の遂行が難しくなったときの対処法を備えておく

委託先がフリーランスや個人事業主である場合、病気や怪我、身内の不幸などで業務が止まるおそれがあります。会社とは違い、個人とのやりとりであるため、不測の事態への備えが必要です。

マニュアルを作成し社内でも業務を行えるよう、ノウハウを蓄積する工夫をしましょう。

業務委託する際はインボイス制度についても知っておこう

invoiceと書かれた文字を見つめるビジネスパーソン
業務を委託・受託する場合、インボイス制度について把握しておく必要があります。まずは簡単にインボイス制度とは何か確認しておきましょう。

インボイス制度(適格請求書等保存方法)とは、消費税の仕入税額控除に関する制度で、売り手から買い手に適用税率や消費税額を明確に伝える請求書などを発行・保存することを指します。2023年10月より導入され、6年間の猶予措置を経て段階的に施行されていきます。

適格請求書に記載する「適格請求書発行事業者登録番号」については税務署に申請を行う必要があるため、業務委託で仕事をする方や業務の委託を依頼予定の企業はあらかじめ確認しておきましょう。

適格請求書でないと仕入税額控除が受けられない?

企業側が業務を委託する際は、仕入税額控除の適用を受けるために、適格請求書発行事業者登録番号が記載された適格請求書を交付してもらうことを忘れないようにしましょう。

2023年10月以降、適格請求書ではない請求書を受領すると、仕入税額控除が適用されない可能性があります。仕入税額控除が受けられない場合、企業側が納める税が高くなるため、業務委託を依頼する個人事業主がインボイスの登録をしているかどうか確認する必要があります。すでに業務委託を導入している企業も今後、依頼する条件を話し合っておきましょう。

ミイダスで業務委託できる人材を探そう!

ミイダスは、求職者を客観的な視点で評価する「人材アセスメント」を活用し、ミスマッチの少ない採用が実現できるプラットフォームです。

ミイダスでは正社員や契約社員だけではなく、業務委託やアルバイトなど、多様な働き方に柔軟に対応した採用活動ができます。ミイダスの「レギュラー・スポット機能」を使うと、1日〜数ヶ月の雇用を想定した人材募集が可能です。

「人手が足りない繁忙期だけ人材を採用したい」
「専門性の高い業務を数ヶ月限定で依頼したい」

こういった声にミイダスはお応えします。

ミイダスのレギュラー・スポット機能とは?

ミイダスのレギュラー・スポット機能は、正社員の募集と並行して業務委託も募集が可能です。レギュラー・スポット機能の特長は次の3つです。

1.プロの人材と業務委託契約ができる(レギュラー採用)
2.期間や業務を限定して必要に応じた採用ができる(スポット採用)
3.求職者と直接契約できるため、手数料・仲介料が無料

ミイダスのレギュラー・スポット機能を活用すれば「自社に足りないスキルを持った人材がほしい」「繁忙期にあわせて人手を確保したい」など、自社の状況にあった採用ができます。

また、一般的にクラウドソーシング等を使用する際には手数料(報酬の約30~35%)がかかります。しかしミイダスは手数料・仲介料がかからないため、採用にかかるコスト削減が見込めるのです。

レギュラー・スポット機能を活用した事例を紹介

ミイダスの「レギュラー・スポット機能」を活用した企業事例を3つ紹介します。

株式会社Berry電設 | ミイダスで繁忙期の仕事を任せられる外注先を確保

千葉県山武市に本社を置く株式会社Berry電設は、主に木造新築戸建ての電気工事一式を行っています。現在、正社員を募集していますが、人手不足はなかなか解決できない状況です。特に繁忙期になると、仕事の依頼が来ても人が足りないという理由で断るケースもあるそうです。

断ることが続いてしまうことで、信頼を失うきっかけにもなり悩んでいました。そこで会社の信頼や売上を上げるためにも、ミイダスのレギュラー・スポット機能を活用することに。いつ依頼が来ても、すぐ対応できるように外注先を確保する予定だそうです。

株式会社Berry電設の詳細はこちら

ユニオン設計株式会社 |ミイダスで 外部委託の動画制作者を採用したい

大阪府東大阪市のユニオン設計株式会社は、戸建てや工場、ビル、学校などさまざまな建築設計を行っています。今後、ユニオン設計ではSNSを活用したマーケティングを展開していく予定ですが、部署を設立するには莫大な時間や採用コストがかかります。

そこで、ミイダスのレギュラー・スポットを活用しYouTubeに投稿できる動画制作ができる人材採用を行うことに決めたそうです。業務委託であれば、人件費の節約や動画制作に特化したスキルを持った人材を探しやすいメリットがあります。さらに新しいアイデアを提案してくれる人材にも出会えるきっかけにできたらと考えています。

ユニオン設計株式会社の詳細はこちら

株式会社プロアクトシステムズ|繁忙期の仕事を任せられるスタッフが必要。ミイダスを通して業界を経験した人材と出会いたい

株式会社プロアクトシステムズは、リースや割賦などの金融系システム設計・開発を行っている企業です。リース業界が変革期を迎え、今後も需要が増えていくなかで、スキルは保ちつつ、スピーディーに対応する必要性が出てきました。とはいえ、専門性の高い業務のため、正社員を探しながら、3年以上システム開発経験のある人材をレギュラー・スポット採用で募集することに。

ミイダスを導入したことでシステム開発に携わっていたものの、結婚や育児をきっかけに退職された女性が多くいることに気づけたそうです。今後は社会復帰を目指す女性も働ける環境をつくるために業務委託や週3~4日、数時間勤務など幅広い勤務形態を展開していく予定です。

株式会社プロアクトシステムズの詳細はこちら

また、採用活動で気になるのは自社と人材の相性。ミイダスの「フィッティング人材分析機能」を活用すれば、自社に合う人材の傾向がわかります。

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